渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

藤山寛美物語

まずM-1優勝を足がかりに芸人として頂点に立ち、バラエティに進出して複数の冠番組を持ち、ゆくゆくはタレントとしてマチャアキの後継者に…との目論見で入った吉本総合芸能学院では、火星なまりが災いして友だちもできず苛烈ないじめに遭い、やっとのことでウガンダからのお笑い留学生G.G.アミンとコンビを組んだのは、入学した年も押し詰まった11月のことだった。この時点で詰んでいるとしか思えない渡辺電機(株)さんの芸能人生だったが、火星人と土人のコンビ漫才は全く予期せぬ化学反応を起こし、聞く者を爆笑の渦に巻き込んだ。あらゆるコンテストを総なめにして、更にはひな壇芸人からバラエティの常連、遂には念願の冠番組を持ち、芸能界のドンと呼ばれる頃には、渡辺電機(株)さんとアミンの身体は完全に融合し、思考も入り混じり喋る言語も火星とウガンダのチャンポンで、誰もが話を理解しないままに笑い転げ、耳から大量の火星ハンミョウの幼虫をあふれさせて狂い死にした。どうやってもマチャアキの後継者にはなれないことを悟った渡辺電機(株)さんが故郷の火星へ帰る頃には、地表は完全に火星ハンミョウの大群に覆われ尽くし、わずかにウガンダのアミンの生家のみが今も変わらず、ピューマの乳搾りをして昔ながらの暮らしをしているという。

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アイドル屠殺人

政府健康管理局の者です、抜き打ちギョウ虫検査に参りました。さあ、一列に並んで尻を出しなさい。突如楽屋に現れた、白衣で変装したつもりの渡辺電機(株)さんを、AKB48の精鋭たちは容赦しなかった。完膚なきまでにフィジカルを叩きのめしてからの、終わりのない言葉の暴力。出番を告げに来たADを突き飛ばして、泣きながら裸で楽屋から飛び出して行った渡辺電機(株)さんは、あざだらけの全身に油性マジックで「卑怯者」「ド助平」「虫」「ウオノメ」「ヒメイトマキボラガイ」「トイレそのあとに」「E電」「チャリで来た」などと書き込まれ、小ぶりの陰茎にはザリガニが二匹ぶら下がっていた。「選手交代」遠ざかって行く泣き声と入れ替わるように響く、モンゴル訛りの野太い声。ギョウ虫検査用セロファンの束を手に、ホッケーマスクで顔を隠し、大銀杏を結った大男が、ゆっくりと楽屋へ向かって行く。惨劇が、繰り返されようとしていた…。

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8マイルズ

世界ラッパー組合の忘年会で、つい酔っ払ってエミネムに向かって「彼がオーラルセックスしてくれないのォ」とキム・ベイシンガーの真似をしてからかった代償は、あまりにも大きかった。口を尖らせ目に涙をためて帰ってしまったエミネムを追いかけながら、MCハマーのCan't touch thisのメロディを口で「♪でーででで」と歌いながらのハマーダンスで追い打ちをかけ、とうとう走りながら泣き出したエミネムの背に向けて有頂天でちんぽを振り回すおれを、列席のラッパーたちは拍手喝采で讃えたが、エミネムが横綱に肩車してもらいながらまっしぐらに戻ってくるのが見えると、彼らは蜘蛛の子を散らすようにいなくなってしまった。おれも必死で逃げたが、身の丈2mを超す横綱は容易におれに追いつくと、おれのむき出しのちんぽをつまみ上げ、軽く一振り。くるくる回転しながら空を舞い、ふるちんのおれが落ちた先は、試合前の前日計量で向かい合ってにらみ合う、ロベルト・デュランとシュガー・レイ・レナードの間の、わずかのすき間だった。ふるんふるんと揺れるおれのちんぽが静まるのをじっと見下ろしていた二人はやがて、憤怒の形相でゆっくりとおれに向き直った。二人の世界チャンプの雨あられのパンチをかいくぐり、高速のハマーダンスで逃げおおせたおれを、プロモーターのドン・キングが放っておくはずもなかった。デュラン、レナード、マーヴィン・ハグラー、トーマス・ハーンズ、そしておれの5人による、中量級黄金時代の到来だった。

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魔法を信じるかい

テクマクマヤコンテクマクマヤコン、内閣総理大臣安倍晋三になぁ〜れ!!だが、落として鏡を割ってしまったコンパクトは、魔力を失ってしまっていた。二度と安倍総理になれないと悟った渡辺電機(株)さんは怒り狂いコンパクトを罵倒したが、やがてメソメソ泣きながら、紙袋とブルーシートを抱えて日比谷公園の夜の闇に消えた。あるじを失った首相官邸では、物音一つしない暗闇の中に、かつては菅官房長官や昭恵夫人であった木偶人形が、微動だにせず佇んでいた。自民党魔法政治の、終わりだった…。

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死の棘

稽古の後に土俵に皆で車座に座り、スプライトやコーラとポテチを手に、渡辺電機(株)さんの武勇伝を聞かせてもらうのが、宮城野部屋の力士たちの、何よりの楽しみだった。だからオレぁ輪島のやつに言ってやったよ。黄金の左を名乗るのは、オレの右四つを巻き返してからにするんだな!さっすがあ!電機さんすげーッス!歓声を上げる力士たちに見送られ、デンキコールに送られながら心地よく稽古場を出た渡辺電機(株)さんを見送りに出た横綱が、いつにない冷たい無表情で、耳打ちする。よう、ホラッチョ。無言で動きを止めた背中に、更に言葉を浴びせる。輪島とも北の湖とも、本当は面識すら無いんだってな。それどころか、相撲取りですら無かったそうじゃねえか。嘘っぱちの金星自慢、ご苦労なこった。黙って聞いていた渡辺電機(株)さんは、やがてゆっくりと振り返った。満々の、穏やかな笑顔。知られてしまったら、もうここにはいられない。横綱、そしてみんな、今までありがとう。え、いや、なにもそこまで。止めようと差し伸べた横綱の手をかわし、渡辺電機(株)さんは風のように笑って出て行き、それきり二度と部屋に現れることはなかった。「行学の二道に励み候べし」渡辺電機(株)さんが書き残した色紙を稽古場に掲げ、力士たちは今までにも増して、稽古に励んだという。

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我が心は石にあらず

北海道の鵡川町ではシシャモが通貨として流通しているとの横綱の話を鵜呑みにして、西友の阿佐ヶ谷店で有り金全てをシシャモに替えてからヒコーキに乗り込んだ渡辺電機(株)さんだったが、今年は稀に見る不漁で、シシャモ円相場は著しく高騰しており、全財産はたいて手に入れたシシャモはわずかにオス2匹。悲嘆に暮れたものの、高騰したシシャモ一匹で牧場9ヘクタールが購入可能と知り有頂天に。喜び勇んで牧場に駆けつけカバンの中のシシャモを叩きつけたが、すでに機内で食い尽くしてシッポだけになっており、その場に泣き崩れた。意地悪い爆笑を背中に浴びて逃げ帰った渡辺電機(株)さんだが、残ったシッポ2本を日本円に両替えして、その金で板橋区に古い2DKのマンションを買った。今ではそのマンションでネコ2匹と横綱を家族代わりに、新聞配達とエロ漫画レビューの仕事をして、つつましく暮らしているという。そんなある朝、書き置きを残して横綱が出て行った。

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マスメディアスターズ

坂上忍にバッサリ斬られた芸能ゴシップの数々は、渡辺電機(株)さんの手厚い介護で命拾いし、それぞれが渡辺電機(株)さんの恩を忘れず、渡辺電機(株)さんが経済的に困窮した際には、差し入れやクラウドファンディングなどで、援助の手を差し伸べた。そして、時は来たれり。元禄15年12月14日、坂上忍にバッサリ斬られた47本の芸能ゴシップが、江戸の坂上邸を襲った。寝室から逃げ出して物置に隠れていた坂上が首を刎ねられた明け方頃、渡辺電機(株)さんは新橋駅ガード下のエロ本自販機の釣り銭受けに突っ込んだ手が抜けなくなり、すすり泣いていた。

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