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渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

房総サナトリウム悲話

今までありがと。電機さんが作ってくれたかじめの味噌汁、美味かったなァ…。病床でつぶやき、痩せこけた頬にひとすじ涙を流す横綱。そんな姿を見ては、いてもたってもいられない。付け人たちの制止を振り切って、新鮮なかじめを求め、荒れ狂う夜の海に入っていった渡辺電機(株)さんは、それきり戻って来なかった。翌朝、ケロリと全開した横綱白鵬は、渡辺電機(株)?誰それ?と、不思議そうな顔をして、付け人たちとふざけ合いながら、両国の街へ還って行った。

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お嗤い男の星座

いつもこのブログを読んでくれている皆様、渡辺電機(株)の家族の者です。本人に代わりまして、ご報告させていただきます。渡辺は「マオ思想の普及のため、おれはインドに渡る」と言い残して、多摩動物園から盗み出したニホンザルとキジとヤブイヌを連れ、東京ディズニーランドの焼却炉の中に消えて行きました。彼らしい最期だなと思いましたが、爆発した焼却炉の焼け跡のガレキが崩れたところから、チリチリパーマになった顔をぴょこんと出し、「ブッホ」と黒い煙を吐いて見せる、最悪のオチが用意されておりました。結局、この騒ぎが尾を引いて社会復帰もままならず、晩年は保谷の小料理屋で下足番として、生涯を終えたとのことでございます。

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マンガ家デビュー必勝法

バブルの頃の話。「新人賞荒らし」と聞こえは良いが、要するにフリーのアシスタントで食いつないでいるベテランが、そこそこ作画の基礎はできているので、雑誌の月例賞などに応募すれば、今と違って業界の気前も良いから、努力賞くらいにはひっかかる。そうやって、同じ原稿で何度も複数の雑誌の新人賞に応募しまくり、わずかな賞金を稼いでいると。噂には聞いていたが、石森プロで本当にそういうおじさんに出くわした時には、持参したヨレヨレになった何年も前のデビュー作のゲラ刷りを見て、なんとも陰惨な気分になったものだ。その陰惨な気分になった渡辺電機(株)さんが今、持ち込みに行って「帰りの交通費もない」と泣きつき小銭をせびる、さらに惨めな新人賞荒らしをしているという噂は、すぐに業界中に広まった。だが、その渡辺電機(株)さんの電話をとった編集者は、なぜか幸せな結婚ができるというジンクスも同時に広まり、その行いが咎められることもなく、飯田橋駅構内のトイレで餓死しているところを発見されるまで、業界内で広く愛され続けたという。

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レモンの青春

 金が無いからすうどんを頼んだら「酢丼」が出てきて、お代は千円なんですって。白飯にお酢がかかってネギがふりかけてあるだけの簡素な丼ですが、なんか有名なお店の高いお酢を使ってるって。酸っぱいし目にツンツン来るし、もう目を真っ赤にして涙ボロボロ、むせ返りながら完食しました。したら厨房から白鵬が飛び出してきて、どっきりでした〜〜ん!じゃないっつの。本場所休んで、何やっとんの。ま、そもそもあの休場も、おれが土俵下の力水とお酢をすり替えて、大惨事になったのが原因だしな…。

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彼岸花

台風明けで快晴の割には、変に蒸し暑い日曜の午後。亡くなったはずの蟹江敬三が、芋焼酎を下げてふらりと訪れてくれたのは、嬉しかった。どうもどうも、ご無沙汰してしまって。ロックでやりませんか。おお、いいですね。変わらぬ笑顔で縁側に腰を下ろす蟹江の前で、木槌とノミで木桶の中の氷塊を砕いてみせると、涼しそうだねと、目を細める。蝉しぐれの中、積もる話は彼の没後の業界の話、映画の話から、往年の役柄の裏話などに及び、ついには無名時代に演じたウルトラマンレオのブニョ役の話になると、熱弁の余り完全にブニョになりきってしまい、おまかせください!おいらがレオのやつを捕まえて見せますよアッヒャー!と小躍りしながら、日没の迫る武蔵野の森の闇の中へと、消えて行った。

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優勝おめでとうございます

豪栄道、ごくろうだったな。まあしばらく、ゆっくり休め。横柄に頷いてみせる渡辺電機(株)さんの前を、怪訝な顔をして素通りする大関。ちょっとあんた、花道に勝手に入っちゃダメだよ。肩を抱いて出口へ誘導しようとする会場係の若い親方を「無礼者ッ」と一喝するも相手にされず、なだめすかされながら通用口へ連れて行かれた、一見してホームレスと分かる薄汚れた姿の、渡辺電機(株)さん。手荒く背中を小突かれて表に出ると、待っていたEXILEのメンバーたちが、一斉に直立不動になる。電機様、お車にご案内いたします。何か変わったことは。葉巻を受け取りながら問えば、リーダーと思しきメンバーが素早くライターで火を着けながら、小声で耳打ちする。民進党の党首が、内密にお会いしたいと申しておりますが。捨て置け。どうせ来年夏にはおらぬ。葉巻にみたてたカビたパンの耳をくわえ、彼にしか見えないEXILEを従えてヨロヨロと国技館前を闊歩する渡辺電機(株)さん。背後に点々と残る濡れた足跡が、彼が先程の騒ぎで失禁していた事実を、物語っていた。

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アメリカン・ドリーム

トイレの鏡にチンポを映して「おれはスター…渡辺電機(株)だ!」と気合を入れたものの、アメリカのポルノ映画産業は、もはや彼を必要としてはいないのだった。手術でブルマァクのジラースのソフビを縫い付けた自慢の怪獣チンポも、ポルノ男優の仕事を失った今では、単にションベンに不自由な異物でしかない。悄然と帰国した彼を待っていたのは、日本をあげての空前の特撮回顧ブームであった。かつてのウルトラ戦士の俳優や監督などとともに、トークショーに引っ張りだこになった彼は、ポルノ時代とは比較にならない巨万の富を得て、渋谷松濤町に豪邸を建てた。だが、ソフビの毒がやがて全身に回り、自宅プールで紫色の血を吐いて倒れ、苦しみもがいて死んだという。

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