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渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

アニマルインデックス

道場に集められた、ゴリラ、マントヒヒ、ヒグマ、イボイノシシ、バッファロー、アリゲーター、アフリカゾウ、ベンガルトラなどの凶暴な猛獣たち。動物界の柔道ナンバーワンを決めるトーナメントが、いよいよ幕を開ける。「始めッ」掛け声とともにダッシュで窓から逃げようとした、審判のおれの襟首を掴んだゴリラが、力任せにおれを道場の畳に叩きつける。所詮はけだものの群れ、ルールも品位もあったものではない乱闘が始まり、道場に野獣の咆哮が鳴り響いた。やがて静けさが訪れ、累々と横たわる猛獣たちを見下ろして立っているのは、誰あろう横綱白鵬関だった。やっぱり、あんたが残ったんだ。「決着をつける時だよ、電機さん」ゆっくりとこちらへ向かって来る横綱は、ネコ科特有の縦長の虹彩をもつ黄金色の眼を光らせ、牙をむいて舌なめずりした。

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死んでもらいます

シロアリ駆除業者に変装して家に上がり込もうとした白鵬の背後から金属バットで思い切り殴りつけたのだが、バットは乾いた音を立て、くの字に曲がって庭に吹っ飛んだ。あかん殺される。そう思って身を固くしたが、白鵬は黙々と作業を進め、お代の方は協会から請求書お送りしますんで!と朗らかに笑い、帰っていった。間もなく届いた請求書の金額欄には、血文字で「おまえの命」と書かれていた。

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男の酒

何がフードペアリングだ田舎者が「つまみを探す」でいいだろうが!そこに座れ!おれの怒声に直立不動になった高田延彦が、表情をこわばらせてその場に正座する。てめえにヘネシーなんぞ6億年早ええんだ。これでも喰らえ!正面に仁王立ちしてパンツを下ろし、その顔面めがけて勢い良く放尿する。高田はまばたきもせず、目を見開いたままおれの小便を真正面から受け止め、身じろぎもしなかった。キリンフリーですか、電機さん。顔にしたたる小便をひとなめして、高田がゆっくりとつぶやく。あ、ああ。おれ酒あかんの知っとるやろ。それがなんやっちゅうねんおらぁ!顔を蹴り上げようとしたおれの足を人差指と親指だけでつまみ止め、動揺を見透かすように軽くため息をつく。電機さん、あんたの好きなキリンフリーに、極上のつまみをご用意させていただきますよ。高田はゆっくりと立ち上がり、おれの顔面の上にまたがると、片手で軽々とおれの口をこじ開け、健康そうな特大の一本糞を音もなく排泄し始めた。飲み込まないと、窒息しますよ電機さん。一本糞はいっこうに途切れる気配もなく、一定のペースでゆっくりと肛門から吐き出されてくる。必死に飲み込みながら、視界いっぱいに広がった高田の肛門が、いつまでも収縮と弛緩を繰り返すのを見つめていた。

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暴力教室

校則で禁じられていないからとうそぶいてユンボに乗って高校に通っていたが、ある朝、校門前で天狗の面で顔を隠した男達に取り囲まれた。面をかぶっていても全員野球のユニフォームを着て金属バットを持ち、ごていねいに胸に学校名まで書かれているので、バレバレなのである。野球部の奴らに恨まれる筋合いは無いはずだが、おおかた表立って手を出せない校長の差し金であろう。一斉に襲い掛かってきた天狗たちを、おれは神業と言われるアームさばきで次々と払いのけ、辺り一面、人型の血溜まりが点々と広がった。最後に残ったひときわ大柄な天狗に、声をかける。おまえエースの藤田だろ?立教に推薦決まったそうじゃねえか。こんなとこで、せっかくの才能をすりつぶすんじゃねえよ。金属バットを取り落とすカランという音を背に、おれはユンボを運転し、校舎を破壊しながら教室へ向かった。出入り口のサッシをぶち破って教室に入り、最後列の自席に着くと、ちょうど担任の勉ちゃんが入ってくるところだった。ギリ間に合った!「今日は、転校生を紹介します」声に誘われて、背を屈めてのっそりと入ってきた、天狗の面を着けた大男が、まっすぐにおれの方に向かってくる。鬢付油の香りを嗅ぐまでもなく、おれを殺しに来た横綱白鵬であることは、すぐに分かった。

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ナニワの大霊界

かに道楽の裏口のゴミをあさって甲羅の裏に付着したミソを夢中で舐めていた渡辺電機(株)さんは、食あたりでこの世を去りました。道頓堀ではよくある光景で、誰も気に留める者はなく、川面に投げ落とされた死体は道頓堀川から木津川を経て、ゆっくりと大阪湾へ流されて行きました。カニで命を落として、今度はカニの餌になるのです。「死んだら驚いたー!」体中に食いついた無数のカニをぶら下げたまま、興奮気味に海遊館の敷地内に現れた渡辺電機(株)さんは、死後の世界を見てきた男として、主に関西のローカル番組で引っ張りだこになりました。憧れのタージンや妹尾和夫にも会えて、たいそう喜びました。けれど、もう二度とカニは口にしなかったといいます。

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Nowhereman

ウルトラセブンで、一般人の家の居間にキュラソ星人が入ってくる場面が、やたら怖くて泣いたのだが、あれなんかリアルな普通の日常にポンと異物を投げ込むことで余計怖さが増す、「スイカに塩」的な効果であろう。なので、今まさに金正男さんが暗殺されようとしているクアラルンプールの空港にキュラソ星人が出現しても、誰も驚いたり怖がったりする者は無かった。そればかりか現場を目撃してしまったが故に、キュラソ星人は北朝鮮の情報機関に命を狙われる身となってしまったのである。無国籍の身なので公的機関の保護も受けられず、キュラソ星人は浜笑マレーシア店の洗い場でバイトをしながら、追っ手の影に怯えてひっそりと暮らした。ひと思いに、ウルトラセブンが来てくれたらなァ…。クアラルンプールの夜空を見上げて、ため息をつく。こんな宇宙の果ての小さな星で、誰にも知られず一生を終えるのか…。

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ポリフェノール

チョコレートは体にいい!という最近の風潮を真に受けて、グリコポッキーを毎日むさぼり食っていた渡辺電機(株)さんはある日、芯の部分はチョコじゃない粉のかたまりなので、でぶになるのではと気付いて、その日を境に外側のチョコだけをしゃぶり取り、中の棒の部分は教室の机の中にしまうようになりました。終業式の日には、渡辺電機(株)さんの机の中はカビの生えたポッキーの芯でパンッパンになっており、担任の白鵬先生はカンカンに怒って、その場で全部食べるように命じました。食えるわけねェだろこんなもん!だいたいおれはおっさんだぞ!なんだ終業式って!誰だおめえ!離せおらぁ!怒号を張り上げて暴れていた渡辺電機(株)さんですが、やがてくぐもった悲鳴を上げながら、どこかへ連れて行かれました。こわいですね。ポッキーは、残さず食べましょう。

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