河童に育てられて50年。平均寿命250歳と言われる河童に比べて、人間はあまりにも短命だった。美しく若々しい河童仲間を差し置いて、みるみる年老いておっさんになって行く己に疑問を抱いた渡辺電機(株)さんは、育ての親の河童を問い詰めた。お父さんお母さん…

渡辺電機(株)のなにわフーゾク最前線！というニセ番組の仕事でまんまと呼び出された渡辺電機(株)さんは、河童の着ぐるみを着てゲラゲラ笑いながら水鉄砲で泥水をかけてくる先輩芸人の品川庄司やインパルスらを、喉笛を食いちぎって皆殺しにした。大阪の風俗…

ネットの情報を中途半端にうのみにした渡辺電機(株)さんは、おれもひとつフェイクニュースのサイトを立ち上げてひともうけしてやろうと考え、「【悲報】桂歌丸が二代目林家こぶ平を襲名wwwwww」と言う記事をアップしたところ、数分後にはヤフーのトップニュ…

ゴリラと脳を交換し、見た目はそのままに人間の叡智を失ってしまった渡辺電機(株)さんは、もう二度とマンガを描くことができなくなる、誰しもそう思った。だが、食欲と性欲のみに衝き動かされ、そのための収入源と割り切って描くマンガはストレートな快楽主…

「パンクってなにか？」って聞いてくるやつがいたんで、ゴミ箱を蹴飛ばして「これがパンクだ！」って言ってやったんだ。そしたら、ゴミ箱の中には体長２ｍほどもある凶暴なボルネオチスイナメクジが潜んでいて、ビリー・ジョーを頭から飲み込んでしまった。…

出張先のパリから帰国、成田空港で出迎えた報道陣に選挙結果についての感想を求められ、大袈裟に肩をすくめて「夢もチボーもないネ」とおどけてみせた小池百合子党首は、激怒した党幹部らによって即日解任され、以後二度と政治の表舞台に上がることもなく、…

お釈迦様が蓮の花咲く池のほとりに立ち、下界の様子を覗いて見ると、今日も渡辺電機(株)さんが、食べ物を探してJR西荻窪駅高架下をうろついています。ああ、そんなところを探しても食べ物はないのに、食べ物のある場所は古株の乞食や愚連隊がいて、怖くて近…

オーパ！オーパ！おいデブ、魚釣ってみろよ！かつて開高健と名乗って著作活動をしていたというホームレスをはやし立てる子どもたちの歓声を聞きつけ、リムジンを停めて出てきたのは、誰あろう横綱白鵬であった。あっ横綱だ！わあい！群がる子どもたちにサイ…

「おねショタ 痴女」「ショタ おばさん」「童貞 逆レ◎プ」といった検索履歴から、横綱の性癖はあまりにもハッキリしていた。ふぅむ、こりゃ案外つけ入るスキはあるやもしれん…。頭脳派、マイコン力士として知られる渡辺電機(株)さんは、横綱との初対決を前に…

桃太郎が宝の山を持って帰ると、家は跡形もなく、おじいさんとおばあさんもいませんでした。ま、ゴミ屋敷で死んでるよりはマシか。あっさり気持ちを切り替えた桃太郎は、宝の山を換金してFX投資で転がしてなんとかやって行こうと考えましたが、御徒町の宝石…

アフターバーナーの筐体の中でボタンを連打しながら奇声を発している渡辺電機(株)さんに、進んで声をかけようとする者もいなかった。十年以上も前に動きを止めた埃まみれの暗い筐体の中で、子どものようにキラキラと輝く渡辺電機(株)さんの瞳には、もうこの…

ハッピークリスマス、ヨーコ。ハッピークリスマス、ジョン。ハッピークリスマス、デンキ。ていうか、誰だオマエ。鋭いジョンの罵り声と、もみ合い言い争う声、ヨーコの悲鳴、殴打。捨て台詞を残して逃げ去る声。ジョンの罵倒と、追いかける複数の声。ジョン…

「鬼が棲む」と言われ、業界に知られるスパルタ方式でアシスタントを次々とデビューさせる渡辺電機(株)さんのスタジオだが、その実態は凄惨なリンチと言葉の暴力による支配が横行する、超ブラック職場であった。そんなパワハラ野郎の渡辺電機(株)さんを懲ら…

かつて渋谷系のプリンスと謳われた渡辺電機(株)さんも往年の面影はなく、ねずみ色のマッシュルームカットの頭頂部は丸く大きく禿げ上がり、よれよれのボーダーシャツに穴だらけの黒ずんだオーバーオールで、凡そポップさとかけ離れた垢まみれの悪臭を放つ老…

全裸で左右の乳首にボンボンを付け、股間にはキティちゃん仕様の天狗の面を装着した渡辺電機(株)さんが、オールスター感謝祭のスタジオに入れてもらえず放送局の廊下で震えていると、あんたそんな格好でなにしてんのと、野太い声で優しく話しかけてきたのは…

石森プロの鉄砲玉として、手塚治虫の睾丸をパチンコで撃った男。罪を背負って漫画界全てを敵に回した渡辺電機(株)さんは、石森プロの手配したマグロ漁船に乗ったまま、その行方は杳として知れなかった。どこかへ逃げ延びたのか、それとも漫画界の追手に捕ま…

かつて内田裕也、ミッキー・カーチス、尾藤イサオらとともにロカビリーの一時代を築いた渡辺電機(株)さんも、ブームが去った後はシーンから忘れ去られ、北海道は登別温泉で、歌手時代のファンの経営する観光ホテルの下足番として、不遇の日々を送った。普段…

モンスターエナジーの飲み過ぎでモンスターになってしまった渡辺電機(株)さんだが、変わったのは見た目だけで、その心根は優しいままだった。早朝の井の頭公園で転んで怪我をして泣いていた子どもを助け起こしていたのを、襲われていると勘違いした人々に騒…

トランペットが欲しくて欲しくて、靴磨きの仕事の行き帰りに、楽器屋のショーウインドウに張り付いていた渡辺電機(株)さんに、裕福そうな紳士が話しかける。おいぼうず、トランペットが欲しいのか。へんっ、欲しかねェや！駆け出していく渡辺電機(株)さんを…

「死霊のはらわた」シリーズ５作目は舞台を安土桃山時代の日本に移し、ブルース・キャンベルは主人公フランシスコ・ザビエルを演じることになった。布教の旅の途上、インドのゴアトランスシーンに触れて衝撃を受けた彼は、当地での４年に及ぶＤＪ修行の後、…

せんせい、あたち、どうしてみんなにいじめられるろ。つぶらな瞳でそう尋ねてくる横綱白鵬の悲しげな表情に、おれも胸を締め付けられるような思いがした。あたち、みんなとおともらちになりたいろに、どうちてらろ。…それはな、おめえがウスノロのバカだから…

小橋危ないッ！健介の繰り出すチョップの連打で、みるみる赤く染まる小橋の胸板。いてもたってもいられなくなった渡辺電機(株)さんは、制止する若手の手をかいくぐってリングに乱入し、佐々木健介の大きな背中をポカポカとなぐりつけた。数発で背骨が粉砕さ…

総合格闘技史上最弱のファイターと呼ばれる渡辺電機(株)さんは、人間が相手ではどうにもならないので、馬やパンダなどの動物相手の異種格闘技戦に活路を見出していくつか試合を組んだものの、馬に蹴られ、パンダに腕をヘシ折られ、カピバラにのしかかられて…

一匹ぐらい減ってもわかんねえべよ！と、井の頭自然文化園のモルモットふれあいコーナーから盗み出してごはんのおかずにしようと考えた渡辺電機(株)さん。さりげない表情でモルモルモルモルモールモルー♫と歌いながら入場ゲートを抜け、ふれあいコーナーに近…

横綱、トルコおごってくれトルコ！図々しく取り組み後の支度部屋に乗り込んで来た渡辺電機(株)さんを、優勝の喜びの言葉を聞こうと集まった報道陣が不審そうに振り返った。優勝したらオゴる約束だろ？おれが連載決まった時、アルサロおごったじゃねえかよ！…

「叶姉妹第三の男」と称して地方のキャバレーやイベントのドサ回りで小銭を稼いで食いつないでいた渡辺電機(株)さんにも、夢はあった。得意のまんがを出版社に持ち込み、華々しくデビューして人気作家の日々を…。だが、一念発起して描き上げた力作は、息子ほ…

東京杉並の旧井伏鱒二邸と旧大山康晴邸に挟まれて、漫画家・渡辺電機(株)さんの旧宅が当時のままの姿で残っているのだが、もはや往時の彼を覚えている者もいない。戦前戦中の風刺漫画が当局に睨まれての投獄などを経て、戦後にユーモア漫画でいち早く復活、…

埼玉で発見された外来種の体長15cmのマダラ模様のナメクジを見て人々はきゃあこわい、気持ち悪いと目を覆ったが、さすがに渡辺電機(株)さんは目のつけどころが違う。NSC在籍時からその才能が評判を呼び、デビュー年のM1グランプリでいきなり優勝、たちまちお…

牛歩戦術はもう古い！小池党首のお気に入り、渡辺電機(株)議員の提案により、憲法改正を阻止すべく希望の党がとった戦術は、投票が始まるや全員でホーミィによる輪唱を行い、与党議員の精神を破壊し死に至らしめるという、恐ろしいものだった。採決が始まる…

「じゅんです！」「長作です！」「渡辺電機(株)でございます」自信満々に進み出て見栄を切ってみせた中央の男を、両脇の２人は反射的にハリセンで叩こうとして、はてこいつは渡辺電機(株)でないとしたら、どこの誰だっけ？と、まったく思い出せない自分に気…