渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

サイケ横綱

医療用大麻を買いに駅前のサンドラッグへ。昔ながらの白衣のおっさんが店番をする薄暗い薬局とは違い、カラフルな商品があふれる現代のドラッグストアは目移りするし、ウキウキしてつい余計なものを買ってしまう。今日もレジ前に積んであった、辛さを抑えた…

プロレス悪役烈伝

あのデカイ図体で正義の味方ヅラをしやがる日本人、ジャイアント馬場の野郎を、日本のリングでブチのめして観客どもの悲鳴を聴くのが、このオレ様の何よりの楽しみなのさ!さあ行くぜ!悪徳マネージャーの小柄な日系人、通称「黄色い裏切り者」を従えて後楽…

カルナヴァル

なンだなンだ、まるで日本シリーズとハロウィンがいっぺんに来ちまったような騒ぎじゃねえか!渡辺電機(株)さんは嬉しそうに言うと、渋谷ハチ公前のスクランブル交差点のド真ん中で、真打登場じゃいと絶叫した。黒いバッグにかがみ込んで、何か取り出そうと…

金持ち父さんの恩返し

あんた、カジノで大勝ちしてたら後ろから黒服に肩をつかまれて「お客さん、ほどほどにしていただかないと、困るんですよね」とスゴまれたこと、あるかい。そういってクックックと乾いた笑い声を上げ、中指と薬指でサングラスをクイと上げてみせた渡辺電機(株…

土俵王子

ハッピーハロウィン!イエー!!弟子が一人もいなくなってしまい、昼でも暗くしんと静まり返った稽古場に、カボチャの帽子をかぶっておどける、おれの浮かれた声が虚しく響く。ヒマラヤで行方を絶った白鵬の後を継いで頑張った相撲部屋経営、やはり力士経験…

闇金ウシジマくん「力士くん」編

森の中でお菓子の家を見つけた渡辺電機(株)さんは、担いでいた闇金の社長の死体を投げ捨て、全力疾走で駆け寄りました。シメシメ獲物が来たわいと魔女のおばあさんが腰を上げた時にはもう、渡辺電機(株)さんはお菓子の家をペロリと平らげ、一気に食いすぎた…

俺は田舎のプレスリー

津軽鉄道の車内から一瞬だけ見える、吉幾三が住んでいるという白亜の豪邸に、吉プロモーションの事務所もあるはず。というワケで、遠路はるばるデモテープを持参して売り込みに行ったのだが、豪邸はとっくに人手に渡っており、吉幾三は破産して一文無しにな…

魔んが道

電子書籍が猛威を振るった後には、音楽と同様にアンプラグドの波が来るぞ!と、木版・和綴じの週刊漫画誌の創刊を提案したが、加藤編集長はチラリとおれを蔑んだ目で一瞥しただけでタブレットに視線を戻し、スカイプで手塚先生を監視しながら、次号「漫画少…

萌え♡きゅんメイド隊

豚も木から落ちるってヤツだな!ワッハッハ!周りを見回して大笑いした渡辺電機(株)さんだが、その体重200kg近い巨体が地面にめり込み、脂肪がぶよぶよと波打つ様は醜いのひとことで、人々は笑顔を凍りつかせ、そっと目をそらした。汗をかき、ふうふう息をし…

炎のジャイアンツ

ドラフト会議でおれの名前が呼ばれなかったので、何かの間違いではないかと、念のため日本プロ野球機構に問い合わせてみたが、おれを指名した球団が本当に無かったと知って、話が違うじゃねえかよと激昂、入場ゲートの係員の制止を振り切って東京ドームに飛…

新世界英雄伝説

もも、モンスターボール…と呻きながらたどり着いたポケストで、紫のクスリ4個もらって激怒している中年男性など、街には爆発寸前の危険人物がいっぱいやで。せやから、いつ暴漢に襲われてもええように、コイツを肌身離さず持ち歩いとるんや。渡辺電機(株)さ…

増殖

人類最後のセフティーネットと言われる漫画界からも放逐され、ついに地上に居場所を失った渡辺電機(株)さんは、ごく自然に体の表面にウロコが生え、エラ呼吸を覚えて、水中に活路を見出した。その爆発的な繁殖力は、日本国内の河川の生態系を破壊し尽し、空…

血のバレンタイン

バブルの頃には日本中にあふれかえって不良外人の代名詞のようだった出稼ぎイラン人もすっかり見かけなくなり、それどころかおれ自身がイランで日本のエロ同人誌を売り捌いて、せっせと日本に仕送りしているのだから、時代は変わった。当地の事情に鑑みて、…

尾張ズッコケ大作戦

信長様から賜った茶碗にションベンをしたら、水圧で粉々に砕け散ってしまった。呆然としているところに尾張から使いの者があり、茶会を開くのでこないだの茶碗を持って来いとの、信長様からのお達し。進退ここに窮まれり。そこでオマエの出番だ。茶碗に化け…

決戦!日本シリーズ

大谷選手の弱点はカマドウマだぜ!おれのチクリを真に受けた広島カープ球団からの要請を受け、市民総出でカマドウマを捕まえてグラウンドに放った効果は絶大で、大谷は目を輝かせてベンチを飛び出し、グラウンド中にウヨウヨと飛び交って霞がかかったように…

二人の夏物語

電機さん、ウニたくさん採れましたよウニ。白鵬の弾んだ声に思わず腰を上げたが、バケツ一杯のオニヒトデを見て、ガッカリして再び焚き火の側にへたり込んだ。せっかくの秋巡業打ち上げの東京湾クルーズが一転、見知らぬ孤島に横綱と二人きりのサバイバル生…

水棲記

水面から突き出たアンテナにロープを巻き付けてスクーターをつなぎ、水中へ。すっかり水没してしまった都庁の中に、まだまだお宝が眠っているのである。おれたち水棲人でも水圧に押し返されてたどり着けない下層階には、往年の都知事・石原慎太郎が、巨大な…

もののけの夜

ノーベル変態賞受賞の知らせを受けた時おれは、銀座の「黴」で野坂がホステスを口説くのに付き合わされ、少々ウンザリしていた。店内になだれ込んできた報道陣がおれに群がり、口々にけたたましく喚き立てるが、鳥の言葉を理解しないおれは、申し訳なさそう…

北の狼

地回りのヤクザに頼まれて麻雀の代打ちで、札幌へ。相当な打ち手が揃ったとのことで、念のため用意した長ドスをしのばせた腹巻きをポンと叩き、すすきのの指定されたクラブの、「準備中」の札の掛かった扉を開ける。渡辺さん、こちらです。黒服に案内された…

きつね

朝から区の健康診断で、西荻のクリニックへ。何食わぬ顔で身長体重、心電図、レントゲンと無事にクリアして気がゆるんでしまい、採血でウッカリした。おれ特有の紫色の顆粒状の血が、注射器の中にポコポコと溢れ出したので、ナースが古生代の怪鳥のごとき奇…

ロリータ大戦争

図書館で貸し出しの列に割り込みしたら、後ろに並んでた小学生の女子3人組にボッコボコに袋叩きにされた。係員も、止めずにニヤニヤ見てやがんのよ。モップとかパイプ椅子とかで殴られて、こっちは血だらけだっつの。あったま来て、行ったよ警察。したらよう…

浪曲ビートルズ

いま、新地のキネマでビートルズの映画やっとるやろ。あれな、おれのエピソードを全部削って、あたかも4人組やったかのごとく描かれとったやろ。これ、実はおれの方からそうしてくれいうて要望を出してん。解散して40余年、マスメディアに追い回され再結成…

L'Écume des jours

東京には空がないと言った智恵子も、もういない。智恵子の墓もないし、そもそも東京など最初から存在しない。高村光太郎の見た幻の中の住人に過ぎないおれたちは、地上に残っていた彼の怨念が成仏するのに伴って消失し、東京のあった場所には巨大な無の暗闇…

ゼッケン666

半世紀前の東京オリンピックで、1万m走で何周も周回遅れになりながらも完走して、大喝采を浴びたスリランカのカルナナンダ選手の上を行って、世界のヒーローだぜ!今なら芸能界デビューくらいは!と考えたマラソン代表の渡辺電機(株)さんは、スタートから…

おじさんオーヴァードライヴ

「使い捨てのコンドームを売り出したら、いけんじゃね?!」自称発明家の渡辺電機(株)さんが新たな着想を胸に、小躍りしてドトールを飛び出して行く。「あばよ!もうこんなクソ安いコーヒーショップともおさらばだぜ!」また3、4日もすれば、特許庁で門前…

宇宙猿人ゴリ

おめーもイチローの爪の垢でも煎じて飲めや!と罵倒されて閃いたアイディアが生み出した新商品、爪の垢グミキャンディは、爪の垢の食感と味をリアルに再現して空前のヒットとなったが、袋に印刷されたイチロー風のキャラクターが本人サイドと大リーグ機構か…

昭和日本文學史

病床の正宗白鳥が、おれの目をじっと見上げながら、何か言いたげに口を動かす。奥様の方に目をやると、「聞いてやって下さい」とでも言うように、黙ってこちらに頷いて見せて、目を伏せる。枕元に座り直し、正宗の口元に耳を近づけ、じっと聞き入る。声のな…

弥勒

亀田4兄弟の中で誰が一番強いのかという話になり、そらやっぱ兄貴やろと長兄興毅を立てたが、兄は「いや、電毅もなかなかやで」とニヤリ、しゃくれたアゴをさらにしゃくって、こちらを指し示す。下の誰かとなれば、残りの2人とりわけ末弟の知毅が黙ってい…

東京イズノットバーニング

仕事上がりのおやつにと思って大事にとっておいたカツオノエボシの砂糖漬けが、袋に穴が空いていたのか、びっしりとアリにたかられていた。怒りで目の前が真っ赤になり、♪何が日本の象徴だ!何もしねえでふざけんな!と、亞無亞危異の歌を絶叫してふと我に返…

ラストハルマゲドン

竹ヤリの先に高々と掲げられた渡辺電機(株)さんの生首が、戦争の終わりと平和の訪れを物語っていた。人々は万歳三唱して泣き、歓び合い、悪鬼の形相で固まった生首めがけ、レンガや石つぶてを投げつける。この世を恐怖と悪夢に陥れた悪魔・渡辺電機(株)が、…