自由の国アメリカ合衆国の象徴アンクル・サムの正体が、日本のホームレス渡辺電機(株)さんだったと分かった途端に、米国政府は手のひらを返したようにそれまでの冷淡な態度を一変、渡辺電機(株)さんを大使館に招いてこれまでの非礼をわび、ジューシーで香ばしい高級ハンバーグとドクターペッパーでもてなした。大急ぎで専用機で駆けつけ、跪いて許しを請うトランプ大統領の頭部に、渡辺電機(株)さんは口の中で咀嚼していたハンバーグの肉をぺっと吐き出し、食ってみせるよう命じた。気色ばみ、怒りの色もあらわに立ち上がろうとするトランプの眉間を、SPの銃弾が射抜く。今や渡辺電機(株)さんは、米国大統領など足元にも及ばぬ、アメリカ合衆国の天上人となったのである。その後はホワイトハウスの庭にブルーシートで掘っ立て小屋を作り、アリアナグランデやテイラースイフトといった名前しか知らないアメリカのVIPたちに身の回りの世話をさせ、毎日ハンバーガーとドクターペッパーで満腹になり、325歳の若さで糖尿病でこの世を去ったという。
