渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

すべての若き野郎ども

生前、松子夫人の話し相手になって鎌倉の古い喫茶店でご一緒する事が多かったのだが、よくおっしゃっていたのが、谷崎がまるで変態性欲者のような扱いを受けるのが不憫でならないと。だって、今の世間様で言う変態にくらべたら、谷崎なんて可愛らしいもので…

蠅男の恐怖

鏡開きをやるのを完全に忘れていて、アチャーしまったと舌を出しながら、今の主流であるお鏡の形をしたプラスチックの塊を解体して中からモチを取り出すべく、カッターの刃をプスリと差し込んだところ、その切れ込みからブワッと大量のコバエが飛び出してき…

空白の一日

アッと驚く掟破りの入団即トレードの荒業で入団した江川が、こともあろうにキャンプでおれと同室になるとは。無二の親友だった小林を阪神に追いやった張本人に復讐するチャンスが、簡単に転がり込んで来たのである。だが、キャンプ初日に広報に伴われて現れ…

宇宙多重人格者

パクリアカウントと呼ばれ罵倒嘲笑され炎上する毎日だが、本当のことだから仕方がない。そんなこんなで嫌気も差したし、もうツイッターやめて草野球に専念します。マンガ家チームに対抗する反マンガ家チームを結成、水島新司率いるボッツを500対1で叩きのめ…

怪奇ショック画報

家を建てるにあたり、どうせなら縁起物ということで、巨大な鉄筋コンクリートの仏像を作り、中に部屋を作って生活していたら、いつのまにか大仏として見物客が押し寄せて何故か寺までできて勝手に観光地になり、オーナーであるにも関わらず大仏の中に住み着…

チベットの陰茎鋏

打ち合わせで高円寺。約束の時間よりだいぶ早く着いたので、昭和の頃から通っているガード下のむげん堂に寄って、ネパール製の陰茎鋏を購入。レジのおねえさんに当店のフリーペーパーはご存知ですかと訊かれ、キミが生まれる前から知っとるよと答えたら怪訝…

悪魔の生体実験

ゲシュタポ時代の同僚と、新橋のユダヤ鍋の店で飲み。ガス処理済みの肉は絶品で、などと今日も不謹慎な日記を書いていたら、玄関の呼び鈴が鳴った。覗き穴の向こうには、ナチ将校風のボンデージファッションに身を包んだ白鵬が、乗馬用のムチを手のひらにパ…

戦場ジャーナリズムのあり方

中東の紛争地域の一番ヤバイとこに潜入取材するルポ漫画の話があって、それ絶対死ぬでしょつって断ったんですが、とにかく生きてる限り現地から発信し続けろ、コンテに割ったネームさえあれば作画は日本でやるからと、強引に押し切られて、その日の内に荷物…

スペースオディティ

おれの先祖は新潟の郷士だったらしいが、ある時もののはずみで金貸しのあんまを斬り殺してしまい、そのあんまが「七代先まで祟ってやる」と言い残して絶命したという。その七代目がちょうどおれにあたるのだが、付き合った相手が全員あんまだったので、それ…

杉並区の不審者情報

そういえばお正月ってもうやったの?おれまだおもち食べてないんだけど!と、憤然と口をとがらせて西友の食品売り場に駆け込み、棚からサトウの切り餅を摑んで走り出そうとした渡辺電機(株)さんは、見張っていた店員数名に取り押さえられ、泣き喚きながら事…

田辺エージェンシーの闇

スパイダースがゴタついていた時期にイギリスに遊びに行ってた井上順が、パーティーでアッチの業界人と仲良くなって、オレ日本でボーカルやってんのよっつったら、ちょうど脱退したボーカルの後釜を探してるバンドがいるんだけどって話になり、いっそもうこ…

なにわの英雄夢語り

西友の惣菜売り場で、揚げたてのアジフライやメンチカツが飛ぶように売れていくのを、ぽかんと口を開けて何時間も眺めていたら、見かねた初老の店員が、売れ残った冷えた白身魚フライ2切れをパックに詰めておれに手渡し「迷惑なんだよ。帰んな」と、吐き捨…

水族館バカ一代

さて!子供の好きなものと言えば、土人、ヤンキー、そして…、玉子焼きですが〜!と、初歩的なヒッカケ問題にあっさり引っかかった横綱白鵬は、ボタンをバシバシ叩いて「タマゴヤキー」と絶叫。ほぼ同時に、ブザーの音とともに足元の床に暗い穴がぽっかりと開…

ベルセルク最終章

昨夜遅くから都内に降り積もった大雪によって、おれの棲家であるダンボールの要塞は押しつぶされて水浸しになってしまった。もとより古新聞とどんぐり数個だけが全財産のおれに失うものも無いので、潰され水を吸ってどろどろになった旧居を捨て、今では六本…

きちがい楽屋噺

先年亡くなった談志師匠を五代目とする説と七代目とする説と、結論が出ていないのをいいことに、将来もし立川流の後継者が八代目を襲名したら、先代は五代目であると主張して、このおれがすかさず六代目の襲名を宣言すれば、自動的に立川流は全員おれの弟子…

覆面座談会事件の真相

学士会館でのSF作家クラブの懇親会の帰りに、平井和正君に声をかけられた。個人的に相談に乗って欲しいとのことだが、ときに度を超した下ネタで周囲を辟易させる彼とのサシは正直、気が乗らない。だが、いつになく思いつめた表情にただならぬものを感じ、三…

アマゾソ「送料無料」の闇

アマゾンジャパンの見学会に、出品者として参加。自分の作品が実際にどのように入荷され、管理され、注文を受けて出荷されていくのか、そのプロセスをしっかり見ておきたかったのだ。塩浜の倉庫前に整列した、額にAmazonの焼き印を捺されたスキンヘッドの全…

アラビアの夜の種族

父親の仕事の手伝いでバーレーンに滞在した2年間の間に、現地の女5人を孕ませて、その後始末に往生したものだが、結局金で解決した。あれから25年。その子どもたち5人がおれを殺しに日本にやってきたという。アラビアの殺人鬼といえど、おれの子供には違…

高原へいらっしゃい

来週のバーベキューのメインディッシュにすべく、河童を捕まえに善福寺川の上流に行ったのだが、野生の河童はすっかり文明が進化して、今ではみな手作りのログハウスを建ててペンションや高原レストランを開き、手作りブルーベリージャムやチーズケーキが雑…

宇宙猿人ゴリ

自分の理想と目的持って強く生きてたそのはずなのに、宇宙の敵だと言われたので腹も立つしモチベもダダ下がりだし、とりあえず地球侵略はひとまず棚上げにして、ピザを2枚ばかし頼んでコーラも買い込んで、録り溜めたアニメを観ながら一日ゴロゴロすること…

銀河の支配者

いつも「ペド野郎」「プゲラ」「(木亥火暴)」「逝ってよし」など一昔以上前のネット流行語を連発する実家の老父が、どこで覚えたのやら「メスイキってなんだ?」とLINEで訊いてきたので、それは流行語ではないし、はしたないから人前でみだりに使ってはなら…

ゼニの無い奴がコミケに来たらあきまへんで

探したでえ、電機はん。冬コミ会場で、サングラス越しに凄みを利かせた笑みを浮かべて近づいてくる竹内力を見て、おれはもう逃げられないと観念、ヘナヘナとその場に座り込んだ。涙目でアワアワへたり込むおれに、銀ちゃんは予想外の言葉を投げかけてきた。…

タイム・アフター・タイム

50年前に戻って作家を殺せば、いますぐ著作権フリーになってそいつの作品タダで読めんじゃん!と気づき、さっそくタイムマシーンで50年前の宮城県、荒木飛呂彦の生まれ故郷へ電動ノコギリを持って向かったが、村人全員ひとごろしの殺人村で生まれ育ったとい…

おれの身体を返してくれ

「風雲児たち展」を見に深川資料館に行った帰り、久々に都内散歩がしてみたくなって、清澄白河から水天宮〜東日本橋〜浅草橋〜秋葉原〜神保町〜飯田橋と、7kmほど歩いてしまった。翌日になったらふくらはぎの筋肉痛で死に、さらに次の日になったらふとももの…

肛門裂傷は江戸の華

深川江戸資料館のトイレのウォシュレットが何者かの手によって最強にされていたので、ジェット噴流がおれのケツから全身を貫いて脳天を突き破った。おれは便座に座り、目を見開いて頭頂部から水を噴き上げる姿のままで、絶命していたという。

ふたなりスケッチ

冬コミでいただいた、ひだまりスケッチのヒロインが靴下の匂いを嗅ぎながら1日50回射精する同人誌を読み終えたのだが、女の子にちんちんが付いていることに何の説明もなく、エロ同人も35年の歴史を重ねて、ずいぶん遠いとこまで来たのだなと…。どう思うかね…

常勝!ガチンコ藤島軍団

おれが暮らす東荻窪の駅前通りは、ヤンキーもホームレスも見かけない平和な商店街だが、時々腹をすかせた貴闘力が、道行く人に張り手をかましてくるので、それだけが面倒くさい。われわれ地元の人間は手慣れたもので、張ってくる手をたぐって体を起こし、両…

何かが街にやって来る

手塚治虫の命日が近づいてきたので、家の周りに結界を張り、室内の壁にもアルミホイルを張って、警戒を怠らない。だが、早くも予兆は始まっていて、今朝も目が覚めたらキッチンのシンクに「びた一文まかりませんぜ」「アトムは完全ではねえぜなぜなら」「美…

けものみち

あれ以来、天狗の面をつけたまま暮らしているが、結果的に人里で暮らすわけにも行かず、森で高下駄を履いて旅人を脅かしたり、子供を隠したりする毎日だ。それはそれで経費がバカにならんわけで、今日も金を借りにミナミへやってきた。「天狗だろうとなんだ…

するどいマンのいるところ

今日は国民に挨拶する日だったが、そういうのはそっくりさんに頼んで、おれ自身はゆっくりアダルトヴィディーオーを鑑賞していた。だが、まさか女のハダカを凝視するおれの間抜け面が、Macの内蔵カメラを通して中継され、広場に集まった国民たちの前の巨大ス…