渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

鳥を見た

生まれて初めて乗る東海道新幹線。ホームに列があるのにも気づかず、開いたドアに駆け込もうとして駅員にたしなめられ、順番が来るまでそわそわ落ち着きなく何度も車内を覗き込み、順番が来ると同時に脱兎の勢いで駆け込んで、歓声を上げて窓側の席を確保し…

少年漫画の夢

その昔、同人誌即売会でプティ・アンジェのエロ同人誌を売っていたおれに名刺を差し出し、見どころがあるから一度編集部に遊びにいらっしゃいと声をかけてくれた講談社の阿部さん、今では社内でずいんぶん偉くなられているとのこと。偉いさんの鶴の一声で連…

昭和文壇交遊録

東京會舘で文士の集いに出席。佐藤春夫、高見順らと文學談義に花を咲かせる内に、別室から聞こえる声高な放歌高吟、馬鹿笑いが気になって仕方がない。ボイを呼びつけ、静かにしてもらえないかねと尋ねると、何でも「ヱスエフ作家倶楽部」とかいう三文文士の…

センチメントの季節

池にビッシリ産み付けられたガマガエルのタマゴ、食おう食おうと思ってズルズル日が経って、けっきょく全部オタマになっちゃったのがまた美味そうなので、西友で味ぽん5本買ってきて池にドボドボ注ぎ込み、くちばしを池の水に突っ込んでズババーッとすすり…

死の迷宮

高校時代の同級だった川上が熊本に帰ってきたというので、さっそく昔のなじみの喫茶店で待ち合わせ。きたきた、懐かしい顔。変わってない。よう、ホラッチョ!おれの呼びかけに、なぜか川上はムッとしているようだ。なんだよ、昔よくそう呼んでたじゃねえか…

鬼の棲む街

泣く子はいねがー!フルチンで鬼の面をかぶり、新聞紙で作った金棒をふりまわして、宮城野部屋の稽古場に乱入してきた渡辺電機(株)さんを、力士たちは当惑して迎え入れた。がおー、鬼じゃー!仕方なく怖がるふりをしつつ、稽古土俵を占領され、どうしたもの…

恩讐の彼方に

20年にわたりずっとおれを恨み憎んでいるという元アシスタントを招き、たったひとりの、20年ぶりの卒業式を開いた。一同、起立。仰げば尊し、我が師の怨♪ あ、怨やて。やっぱまだわだかまりがあるんやね。歌を中断し、パチンと指を鳴らす。照明が落ち、鳴り…

カルナヴァル

近所の建築中の家で餅まきをやるというので、早起きして朝飯もそこそこにスッ飛んで行った。イエーイと奇声を発して跳躍、一番前の特等席を確保するおれに、待ち構える獰猛なドーベルマンの群れが襲いかかった。血だらけ半狂乱で枠組みだけの屋根によじのぼ…

おれは誰だ?

お前は本当は橋の下で拾ったんだよと、よく親に冗談めかして言われていたのだが、まさか本当だったとは。よく考えたら自分がエロ本なの、なんか変だなとは思っていた。いやまあ、こんなベトついた古いエロ本を大人になるまで育ててくれて、親には感謝しかな…

ハイウェイスター

知床半島をチャリでぶっとばすぜ!と思ったら案の定、海沿いの国道をヒグマの親子に追いかけられながら、半狂乱で立ち漕ぎで逃げまどうハメになりました。いい年こいて、しゃくりあげながらチャリを転がすって、なかなか経験できないです。で、命からがら逃…

炎のジャイアンツ

老後はゴールデン街で店をやりながらマイペースでのんびり創作活動をしようとの夢も破れ、東京ドームのボールボーイのアルバイトで澤村に怒鳴りつけられ吸い殻を投げつけられる、屈辱の晩年を送っていた渡辺電機(株)さんの姿を、じっと見守る1人の老人の姿…

おかしな二人

「ジョンレノンさんですか。サインしてください」「いや違いますけど」「ジョンだよね」「違うっつの。メガネじゃねえしワシ鼻じゃねえし、日本人のババーも連れてねえし、第一おれ外人じゃねえし」「あ、ほんまや」「なにがしたいねん」「いや、神さんに電…

仔猫ちゃんのいる店

おいねえちゃん、こっちきて乳でももませろや!そう言っておれの尻をなでた酔客が、振り返ったおれの顔を見てヒィッと鳴き声を上げ、その場に尻餅をついて失禁し始めた。お客さん、トイレでおねがいしますよ。おれは半狂乱の酔客を二本の指でつまみ上げると…

バッドモーターフィンガー

今これが流行ってるらしいじゃん仲間に入れてくれろ〜♪ と、古ぼけたアメリカンクラッカーをカチカチ言わしながら、ハンドスピナーに興じる小学生の群れに飛び込んでいった渡辺電機(株)さんは、数十個のハンドスピナーの回転で発生したエネルギーとアメリカ…

君は最高さ

ボーイ・ジョージと音楽性の違いで衝突してバンドを脱退して以降の渡辺電機(株)さんの人生は、波瀾の連続であった。元カルチャークラブの肩書が何の役にも立たないことにすぐ気づいた渡辺さんはアッサリ音楽業界から足を洗い、日本の神田神保町の三省堂並び…

おすもうさんのうた

左腕が全く使えない状況で大ピンチの横綱稀勢の里に、強力な助っ人が現れた!「電機がパパのお手伝いすゆう!」幼児の格好でよちよちと横綱の後をついて歩き、えいっと可愛い掛け声をあげて相手力士の腹をポカポカなぐりつける初老の漫画家。場内は水を打っ…

不思議なお話を

さる文学者が「くたばってしまえ」をもじって二葉亭四迷と名乗った逸話は有名だが、同じように横綱白鵬も、まだ幼い彼がハクホーンとクシャミをしたのにちなんで命名された。そんなウソの逸話を真に受けた白鵬と力士たちはキャッキャとはしゃぎ、ねえぼくは…

どすこい日和

渡辺電機(株)さんに大関昇進の使者が訪れた時、彼は今まさに昭和の名残を感じさせるエロ本自販機にコインを投入しボタンを押そうとした瞬間だった。つつしんでお受けするけどさあ、ビックリして押し間違えて、隣のやつ買っちゃったじゃん!「劇画ジャッカル…

リモートコントロール

明日は関西コミティアに出ます。ブロックはA-41。大阪初売りはコピー誌「きちがい増刊号」200Gです。えげつない関西人の皆さん、どうぞよろしく。たぶん2時頃には撤収します。と、優勝インタビューで棒読みのように話す無表情の横綱稀勢の里が、何者かに操ら…

網走2137

長いムショ暮らしを終え、すっかり顔なじみになった守衛に頭を下げ、門を出る。十数年ぶりに見るシャバの世界は、見渡す限りのアニメ絵の看板、ビラ配りのメイド、そして何億人ものキモオタの群れであった。全世界がアキバ化してしまったというのは、本当だ…

ジャングルへようこそ

京都は三条陰茎小路上ルの古民家を改造し、和風カフェを始めた渡辺電機(株)さんだったが、契約書にあと3枚アルバムを作りツアーをする条項が残っており、開店前に急遽アクセル、スラッシュらメンバーを店頭に召集して即興の店頭ライヴを敢行。この音源による…

マニフェスト

このたび私こと渡辺電機(株)が板橋区長に立候補致しましたのは、ひとえに区政の腐敗、公共事業の停滞、治安の悪化に、これ以上既成政党の手に任せてはおけないとの思いに至ったからであります。来たる区長選では、どうかこの渡辺電機(株)に力をお貸しくだ。 …

鋼鉄の男

人生初のサイン会の晴れ舞台で、あこがれに目をうるませ長蛇の列を作る女性ファンたちの前で、悪い編集者にカツラを剥がされ、赤っ恥をかかされた渡辺電機(株)さん。会場は一瞬の静寂のあと、大爆笑に包まれた。居並ぶ編集者も、書店員もファンたちも腹を抱…

昔を今に なすよしもがな

アベ政治を許さない!だが、アベ政治だってお前を許さない!総理官邸前でふるちんで腰をプルプルさせながら、安倍晋三が愚民たちに鉄槌を下す!…

むちむちぷりん

突然のゲリラ豪雨に見舞われ、慌てて駆け込んだ神社の祠の中には、先客がいた。うふふふと妖艶に笑うその若い女は、雨に濡れたワンピース越しに豊満な肉体を見せつけながら、お仕事何してらっしゃるの、などと言って身体をすり寄せてきた。横綱、冗談やめて…

殺意のスナック

ホームレスに落ちぶれ餓死寸前のおれを救ってくれたママを絞め殺し、まんまと場末のスナックの店長におさまったおれは、次の日から営業形態を苛烈な暴力ボッタクリスナックに変えた。だが最初にやって来た客は絞め殺したはずのママ、それも身の丈2m近い巨…

孤独の影

初めてアダルトDVDを見た時は、そこに実物の女がいるものと信じ込んで、何度も液晶モニターの裏側を覗き込んでは首を傾げていた渡辺電機(株)さん。今ではすっかり悪ズレしたというか、腕組みをしたままで、これモザイクかけるのって結構センスがいるんだよね…

紅葉饅頭

剛力彩芽の本名が「業力殺め」だと知った時、既におれの両足は宙に浮き、地面を求めて虚しくバタバタともがいていた。人差指と親指で軽くおれの頭をつまみ上げ、剛力は冷酷な笑みを浮かべた。さんまさん、こいつまじ殺っちゃっていいんですか。ええがなええ…

行け!おすもうさん

稽古総見をサボった稀勢の里に代わって、このおれが理事長のお気に入りになるチャンス!土俵を見下ろす座敷の中央に座り、苦虫を噛み潰す八角理事長の下へ、揉み手をしながらスススと近寄る。お疲れッスと頭を下げ、ペプシのペットボトルを差し出しながら、…

幕末太陽傳

寝起きドッキリのロケで三条の池田屋を訪ねたら、ドッキリどころか血の海で誰もいないので、急遽ロケは中断。いったんタレントさんはロケバスで待機していただいて、誰か代わりの志士を手配するため、夜の京の街を奔走することになった。こういう企画にノリ…