久しぶりに(たぶん3回目)「怪しい来客簿」を再読しています。恐怖という感情が人間の動物としての本能に基づいた反応でしかないと分かった上で、見えないはずのこの世ならぬ物が見える恐怖を淡々と書いているので、Jホラーとかいう名のおばけ小咄とは、恐怖小説としてのコクが違うのです。すぐ読んじゃったらもったいないので、1日1編ずつ読んでいます。解説の長部日出雄さんも、吉行淳之介や筒井康隆、野坂昭如に比肩するシュールレアリストと絶賛しておられますが、いずれも大好きな作家なので嬉しくなりました。「とんがれ とんがり とんがる」「ふうふう、ふうふう」この奇妙な題名の2編だけでも立ち読みしてみると良いです。ゾッとしながらも、温かい気持ちに包まれます。
- 作者: 色川武大
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1989/10
- メディア: 文庫
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