渡辺電機(株)

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コリー・ハイムは死んだ

火星上陸は八十年代以降に(米)
月上陸成功に意気揚がる米宇宙科学陣の積極論と、あまりにも金がかかることに尻込みを始めた米国会筋などの消極論にはさまれて、ニクソン大統領は火星旅行の日を八十年代以降とすることに決定した。きわめてあいまいな表現だが、いずれにしても火星に人類が到達する日が来るのは必然的とみて、宇宙科学者たちは夢のプランの具体化に乗り出した。
なかでも張り切っているのは動力関係の科学者たち。目の前の月とはちがって、本格的な宇宙旅行のために、核ロケットの実用化にピッチを上げている。ロケット用原子炉はラスベガスの近くのネバダ核ロケット実験場でテストが続けられており、かなり高性能のブースターの開発にも成功しているといわれる。
だが火星旅行となるとかなり大がかりな装置が必要。そのデザインのひとつをのぞくと、アポロのようなコンパクトなものとは打って代わって、東京タワーにタンクやノズルを取りつけたような、いかめしいものとなっている。それでもいまのところ、僅か数人の宇宙飛行士を、地球と火星の間を往復させるのがやっと。火星旅行がいかに大仕事であるかおわかりだろう。
月上陸の第一幕は終わった。第二幕は火星旅行。舞台裏の苦労は大へんなものだろうが、大いにがんばってもらいたい。

-SFマガジン 1969年12月号「さいえんす・とぴっくす」欄より(無署名)
それから40年。火星は遠のくばかりでございます。大人になった小生も宇宙に旅立つこともなく、今日も地べたに這いずって、激安風俗店のサイトを血眼で吟味したり、エロゲー買い取り価格の変動に一喜一憂する日々でございます。おや、空から蜘蛛の糸が。