渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

空の塔

シンナーに気をつけて壁塗んなー。と繰り返していた親方が、だんだん口調がゆっくりになってきたと思ったら、その手からポロリと刷毛を落とし、へらへら笑いながら足場から滑り落ち、真っ逆さまに空中に消えていった。何千メートル下かもよくわからない地面…

格闘まんが道

格闘技で手塚の野郎と決着をつけてやる!暗闇五段こと寺田ヒロオは、漫画界のために刺し違えて死ぬ覚悟を持って、道場へ向かった。そんな寺田を道場で待っていたのは、陰茎を丸出しにしてヘラヘラと笑う…

幕末英雄伝

くさいくさい!四つ足の匂いがするのう!どこぞの西洋かぶれが獣の肉を食っておるようじゃな!倒幕派の不届き者が隠れておるのではないか?尊攘派の志士たちの間でも空気の読めない過激分子として、浮いた存在になっていた渡辺電機(株)さんが、これ見よがし…

つるの恩返し

決して覗いてはいけませんよと言われて、その禁を破って覗いてみたら、なんとエロ本を読んでいました、というのが江口先生の漫画にありましたが、まあ覗くなと言われたら覗かずにいられないのが人間というものです。罠にかかってケガをしていた安倍総理を助…

うな丼大好き!

東京浅草の老舗うなぎ屋で奉公を始めたのが、人より遅い28歳。それまでの過去を問わずに雇い入れてくれた主人の下で、下足番からコツコツ修行を積み、甲板掃除、洗い場、銛磨きを経て、35歳で餌の犬捕りに昇格、40歳にしてようやくウナギ猟に参加を許された…

アニマルインデックス

道場に集められた、ゴリラ、マントヒヒ、ヒグマ、イボイノシシ、バッファロー、アリゲーター、アフリカゾウ、ベンガルトラなどの凶暴な猛獣たち。動物界の柔道ナンバーワンを決めるトーナメントが、いよいよ幕を開ける。「すいません、帰りの電車賃無くなっ…

死んでもらいます

シロアリ駆除業者に変装して家に上がり込もうとした白鵬の背後から金属バットで思い切り殴りつけたのだが、バットは乾いた音を立て、くの字に曲がって庭に吹っ飛んだ。あかん殺される。そう思って身を固くしたが、白鵬はいきり立った陰茎を握りしめ、切ない…

男の酒

何がフードペアリングだ田舎者が「つまみを探す」でいいだろうが!そこに座れ!おれの怒声に直立不動になった高田延彦が、表情をこわばらせてその場に正座する。てめえにヘネシーなんぞ6億年早ええんだ。これでも喰らえ!正面に仁王立ちしてパンツを下ろし、…

暴力教室

校則で禁じられていないからとうそぶいてユンボに乗って高校に通っていたが、ある朝、校門前で天狗の面で顔を隠した男達に取り囲まれた。面をかぶっていても全員野球のユニフォームを着て金属バットを持ち、ごていねいに胸に学校名まで書かれているので、バ…

ナニワの大霊界

かに道楽の裏口のゴミをあさって甲羅の裏に付着したミソを夢中で舐めていた渡辺電機(株)さんは、食あたりでこの世を去りました。道頓堀ではよくある光景で、誰も気に留める者はなく、川面に投げ落とされた死体は道頓堀川から木津川を経て、ゆっくりと大阪湾…

Nowhereman

ウルトラセブンで、一般人の家の居間にキュラソ星人が入ってくる場面が、やたら怖くて泣いたのだが、あれなんかリアルな普通の日常にポンと異物を投げ込むことで余計怖さが増す、「スイカに塩」的な効果であろう。なので、今まさに金正男さんが暗殺されよう…

ポリフェノール

チョコレートは体にいい!という最近の風潮を真に受けて、グリコポッキーを毎日むさぼり食っていた渡辺電機(株)さんはある日、芯の部分はチョコじゃない粉のかたまりなので、でぶになるのではと気付いて、その日を境に外側のチョコだけをしゃぶり取り、中の…

マンガの神様

死んでもなお好奇心の衰えることを知らなかった手塚治虫は、三途の川でもスケッチに余念がなく、亡者の行列整理に忙しい鬼の陰茎の先端の切れ込みにGペンを刺して大怪我をさせ、閻魔大王の怒りを買い、次は最悪の転生で苦労してこいと、貧乏で才能のない漫画…

FANTASMA

かつて横綱北の富士とともに「北渡時代」を作り上げた名横綱、渡辺電機(株)さんだったが、現役を退いた後は協会にも残らず、それどころか引退相撲興行すらも行わず、相撲とスッパリ縁を切って隠遁していた。それから20年。それまでどこでどんな暮らしをして…

北の国から

北海道の美瑛の丘の景観の美しさに心奪われたおれは、私財をはたき丘陵の見晴らしの良い草原の土地を購入した。この景色を眺めながら、ゆっくりとお迎えを待つ晩年も、悪くないじゃないか…。おれはさっそく業者を呼び、見渡す限りの草原をブルドーザーでまっ…

バトルロワイヤル

久々に水前寺清子ファンクラブの会合。会場の板橋区民センターの小会議室に着くと、すでに場内には立錐の余地もなく、200人近いチータ本人がおれを待ち構えていた。ずいぶん増えたな。さすがに年齢的にひとりで演っていくのはシンドイものがあるとの相談を受…

野球狂の詩

「空白の一日」の裏ワザを使って読売巨人軍に抜け駆け入団したのが23歳のときだから、ずいぶん長い年月が流れた。あれから30余年、いまだに現役を引退させてもらえないまま、週1のペースで先発登板させられる渡辺電機(株)さんは、今日も1回表からヤクルト打…

総理と呼ばないで

安倍総理がアメリカに行って留守のこのスキに、総理の椅子に座っちゃえッ!!茶目っ気たっぷり、七色アフロのウィッグにエルトンジョン眼鏡、紅白しましまのロンT、半ズボンにサスペンダーの渡辺電機(株)さん。両手に持ったピコピコハンマーを武器に総理官邸…

What is life

趣味も友人もなく仕事一筋だった故、定年後に家でなすこともなく一日TVを見るだけだったおれを、生ゴミ呼ばわりで罵り嘲笑し、時には暴力まで振るった妻も、病でおれを置き去りにこの世を去った。今となっては、妻がおれ用にゴキブリでダシを取った地獄味噌…

谷間の百合

可愛い二人の妹、恭子と美香が金を借りにやって来た。凄まじい浪費っぷりはTVで見聞きしており、兄としてひとこと言ってやるつもりだったが、いつもの調子で甘えられると、ついついおれも頬が緩んでしまう。かつては叶コンツェルンの総帥として日本の経済界…

ごはんができたよ

俺にカレーを喰わせろ!上機嫌で歌いだした渡辺電機(株)さんとは対照的に、カラオケボックス内には困惑と軽蔑の気配が漂い、同席者たちは互いに肘でつつき合い、クスクス笑い、渡辺電機(株)さんを指差してささやきあった。気付いているのかいないのか、飛び…

東京タラレバ男

新星堂たまプラーザ店で南こうせつのLPを万引きして捕まった渡辺電機(株)さんは、なぜ自分がそんなことをしたのか、さっぱり分からなかった。平成も終わりを迎えようかというこのご時世に、なぜ自分はこんな興味もない歌手のアナログレコードを盗もうとして…

おれの世界のおれ

今日も西友の青果コーナーのダンボールに捨てられたキャベツの外皮を、汚れたコートのポケットにねじ込み、惣菜コーナーのコロッケのところに積まれたソースをくすね、背中に罵声を浴びながら全力疾走で逃げた。駅前広場のベンチに陣取り、しなしなのキャベ…

未来狂人ウラシマン

子供の頃から育て慈しんできたカメが次第に巨大化、ある日の午後、空中にフワリと浮かんで「電機さん、今まで育ててくれたお礼に、竜宮城へご案内しましょう」と言う。声が広川太一郎なのはちょっと気になったが、立派に育ってくれた嬉しさに、やれうれしや…

ラヴ・ミー・ドゥ

ビートルズの有名なデビュー前の演奏「デッカ・オーディション」音源の、3曲めのカール・パーキンスのカバー"This is your chimpo, baby"のバックで、かすかにおれの声が聞こえているのにお気づきだろうか。当時大久保のラーメン屋で出前持ちのバイトをして…

神保町古書街彷徨記

黄泉坂書店古書部の伊頭さんから電話。お探しの本が入荷いたしましたとのことだが、おれが古書収集に血道を上げていたのは、もう30年近く前の話だ。伊頭さんがまだ健在だとしたら、もう90を過ぎているはず。お久しぶりです、ところで何の本でしたっけ?聞き…

不死の門は開かれた

輪廻転生などというまやかしを一切信じないおれだったが、死んだら驚いた。漫画家の渡辺電機(株)さんになっていた。だから、昨日までの渡辺電機(株)さんとおれは、別の人なんで、ちょっと責任は取りかねるんですよ。そう言って肩をすくめてみせた渡辺電機(株…

殺しのシーズン

鬼は外ー!脳天気に叫んで窓から外に色とりどりのゼリービーンズをブチまけると、外にはオニこと鬼塚勝也が待ち構えていて、おれの投げたビーンズを一つ残らずパンチで室内に弾き返した。おれの顔面に垂直に刺さったそれらは鮮やかで、小さな花壇のようにな…