渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

友情のバッテリー

キモメンばかりの野球チームを85対0で完膚なきまでに叩きのめした渡辺電機(株)さん率いるイケメン力士チームは、打ち上げ会場の酔の助両国店で少々ハメを外してしまい、往来でふるちんのイケメン力士が勢揃いして店主の前で土下座する事態にまで発展、当然協会の上層部の耳にも入り、理事会に横綱渡辺電機(株)さんが呼ばれて査問会が開かれる運びとなった。そもそも、おめえみたいな団子っ鼻のメガネ野郎のどこがイケメンなんだ?そうだそうだ、裸で土下座して鉄腕アトム歌え、あとベレー帽脱げ、ハゲ野郎。のっけから渡辺電機(株)さんに苛烈な言葉を浴びせる親方衆に、横綱は静かに言った。どんなに見た目が醜くても、地位にあぐらをかいて他人の容姿を嘲笑うアンタたちの誰よりも、心はイケメンだぜ、渡辺電機(株)さんは。恥を知れよ!夕暮れの両国橋を並んでトボトボ歩きながら、渡辺電機(株)さんは気遣わしげに横綱を見上げる。なあ、良かったのかい?なにもオレに付き合って引退なんかしなくても…。いいんだよ電機さん。横綱は爽やかな笑顔で、渡辺電機(株)さんの肩を軽く叩く。あんな小せえ奴らと縁を切って、むしろせいせいしたぜ。どうだい、退職金で一緒に軽井沢でペンションでもやらねえか。こんな薄汚い東京とは、おさらばだ。だが、横綱の軽い一撃で吹っ飛んだ渡辺電機(株)さんの体は、隅田川の水中へ落下し、しばらく水面でもがいた後、プクンと波紋を作って音もなく掻き消え、それきり浮かんで来なかった。

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フレンチ・コネクション

夏コミの会場で汗をふきふきエロ同人の探索に夢中になっているところを、偶々会場を訪れていたセルジュ・ゲンズブールに見出され、渡辺電機(株)さんがフランスに渡ったのが、1980年代の半ば。さっそく友人のエロ同人作家たちに国際電話で連絡して、ゲンズブールと娘シャルロットとの父子相姦を扱った過激なエロ同人誌を制作、コミケで荒稼ぎしてゲンズブールの怒りを買い、パリの街に着の身着のままで叩き出された。しかもせっかくのエロ同人の売上は全て、横綱が付け人たちとのサイパン旅行に使い込み、一銭も残っていなかった。フランス語も話せず、金もパスポートもない渡辺電機(株)さんは、ホームレスになり一生を終えてもおかしくは無かったが、当時のフランス大統領ジスカールデスタンが一目惚れ、防衛大臣に抜擢した。その日の午後からさっそくバンバン飛び交ったミサイルの雨により、ヨーロッパは焦土と化したが、A級戦犯として国際法廷に引きずり出された渡辺電機(株)さんは、何を怒られているのかよく分かっていない様子で、「冬コミ合わせで」と繰り返すばかりだったという。

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NEU!

新入幕の場所、白地に赤のスプレー缶で「(´ω`)」と殴り書きしただけの化粧廻しで颯爽と土俵に上がった渡辺電機(株)さんの姿は、全国の茶の間に衝撃を与えた。八勝七敗の勝ち越しながら、その内の五敗がブレイクダンス、ホーミィ、演説、トゥシューズ着用、書き初め披露による反則負け、あとの二敗は食事の好き嫌いが原因で親に外出禁止を申し渡されての不戦敗。実質負け無しの強さを見せ、番付を上げての翌場所の化粧まわしは、今度はグレーの「(´ω`)」の上からピンクのスプレー缶で「2」と乱暴に大書しただけのもので、更に世間をアッと言わせた。この場所は15日間土俵上で相手を無視してブレイクダンスを踊り続け、15戦全敗で次の場所は十両に落ち、そのまま引退届を出して土俵を去った。今では安倍総理の紹介で官房長官の職を得て、永田町の片隅で地道に尊い汗を流しているという。

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一瞬の夏

相撲の持ち込みに訪れた渡辺電機(株)さんを、対応した出羽海部屋の親方は「取り口が古臭いんだよねえ」と興味無さそうにあしらい、ちゃんこも振る舞わずに追い返した。ばかや朗!メジャー部屋の親方に、おれの相撲がわかってたまるかィッ!!心機一転、マニア向けの相撲でマイナー部屋への持ち込みを試みた渡辺電機(株)さんだったが、稽古土俵で薄汚れた等身大ラブドール相手に、とったりや二丁投げ、河津掛けなど珍手を繰り出し奮闘する渡辺電機(株)さんを、弱小の陰茎部屋の親方は丁重にもてなしたが、後日「面白いが、今の相撲界にフィットしない。申し訳ないが、関取に育てる体力が、当部屋にはない」と、断りのメールを寄越した。このように時流に乗れず日本の相撲界からスポイルされて行った渡辺電機(株)さんは現在、ブラジルのサッカー界に陰茎を駆使した大型新人として彗星のように現れ、ブラジル全土のサッカーファンから激しい罵詈雑言を浴びる毎日だという。

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Dの食卓

今、時代はバーチャルだ!ダンボールを組み合わせたような稚拙なポリゴンで作った自分のコピーを前に、渡辺電機(株)さんは悪魔の高笑いを轟かせた。まったくモノホンと見分けがつかねえぜ!コイツを使って、おれのドス黒い欲望をほしいままにしてやるぜ!こうしてポリゴンの自分を身代わりに、渡辺電機(株)さんは学校をサボり、風俗の予約をトバし、安倍総理との会食をシカトした。そして、第66次安倍内閣の閣僚にポリゴンの渡辺電機(株)さんが顔を並べる頃、本物の渡辺電機(株)さんの消息は、まったく聞かれなくなっていた。どこで、どうしているのか…。

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追悼のざわめき

今から25年前、深夜にテレクラにイタズラ電話をかけ、見知らぬおっさんに「おめぇオウムだな!」と罵られたことをずっと根に持っていた渡辺電機(株)さんは、おれがオウムかどうか、とくと見やがれってンだ!と、親友の横綱を伴い、件のおっさんに違いないと目星をつけていた近所の高齢独居男性の自宅を、深夜の二時に急襲した。死後数ヶ月で腐乱の進んだ男性を見下ろし、横綱!スパッと言ってやってくれよ!おれがオウムでもなんでもねえ立派な日本男児だってことをな!そうけしかけると、横綱はギロリと渡辺電機(株)さんを睨みつけ、日本男児?と、低い声でつぶやいた。そりゃ電機さん、モンゴル人のおれへのあてつけかい。そ、そうじゃねえけど横綱ぁ…怖い顔すんなって、悪かった、ついオレさあ…。もう知らない!頬を膨らませ飛び出して行った横綱を見送り、渡辺電機(株)さんは苦笑して肩をすくめる。やれやれ、国際交流はむつかしいや!背後で、死骸に群がっていた蝿の大群が、次第に集まって人の形をとりはじめていた。

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ビートたけし殺人事件

京都祇園通りの和菓子屋「雅々んぼ」に全裸で乗り込んで居座り、まんまと乗っ取って自分の店にしてしまった渡辺電機(株)さんだったが、全裸のよそ者に対する生粋の京都人たちの冷ややかな反応に心を折られ、店を畳み悄然と故郷の岡山へ帰って行った。店の跡地にはガールズバー「イマジン」が入り、在籍する女性が全員ジョン・レノンをも凌ぐ立派なワシ鼻で、その筋の愛好家の溜まり場として、長く愛された。だが、その店が恐ろしい横綱の資金源となっていたことが判明し、京都人たちは恐怖におののき、一度は石もて追い出した渡辺電機(株)さんに頭を下げ、戻って横綱退治をしてほしいと頼み込んだ。だがその時すでに、渡辺電機(株)さんは新たに東国原英夫と名乗り、第二の人生を歩んでいたのである。

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