渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

生まれて、すみません

河童の国ではこれが常識なんですよ!と言い張っても通るはずもなく、渡辺電機(株)さんの身柄は拘束され、その日の内に人民裁判で死刑が言い渡され、夕方の5時の鐘と同時に処刑場で銃殺された。しょせん河童は河童、メロスは途中のキュウリ畑に心を奪われ夢中になり、ついに来なかったのである。晒し首となった渡辺電機(株)さんの亡骸を前に、メロスはそのことを深く悔やみ、泣きながらドライヤーで頭の皿を乾かし、死んだ。翌日、河童の軍隊が人間世界に宣戦を布告、人々はなすすべも無く尻子玉を抜かれ、人類は死に絶えたという。

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下天は夢か

町内会の少年野球教室のチラシに「巨人のO N来たる!」と書いてあったので、街中の子供たちが陰茎記念公園グラウンドに集まったが、まさかO Nが織田信長の略だとは、夢にも思わなかったろう。身の丈30メートルほどの巨大な信長が「首を刎ねよ」と野太い声で連呼しながら、逃げまどう子供たちを踏みつぶすあの光景、忘れられるもんじゃないっす。今のうちに、誰かが討つべきだと思うんスよね。そう言ってチラッとこちらを見た渡辺電機(株)さんを、明智光秀は信じてみようと思った。日本史の、大きなターニングポイントであった。

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第二芸術論

スマートフォンの時代になり、満員電車の中で人の背中を書見台にしてスポーツ新聞を読む無礼者も少なくなってしまったが、その新聞を陰茎を怒張させて突き破るのを楽しみに、毎朝用もないのにラッシュアワーの通勤電車に乗っていた渡辺電機(株)さんにとっては、まことに悲しむべき事である。また、新聞記事から飛び出すチンポにびっくりするサラリーマンの顔が見たいなァ…。そう言って、皇族としての務めにいそしむ日々の中で、チンポとサラリーマンを季語に詠んだ俳句の数々が、平成俳壇の金字塔として永く文学史に残るのだから、わからないものである。

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ラヴ&ピース&チンポ

ティモシー・リアリーはおれの弟子だと言いふらしたばっかりに、自宅に世界中からヒッピーが集まって毎日がウッドストックになってしまった渡辺電機(株)さん。少し前までは相撲取りの溜まり場になっていた仕事場が、今では常時マリワナの煙がもうもうと立ち込め、複数組の外人の男女が見知らぬ者同士で、気楽なフリーセックスを楽しんでいる。その輪の中に、モジモジして入って行けない渡辺電機(株)さん、アンタもしかして、童貞…?今まで散々うそのセックス武勇伝を聞かされてきた横綱が、探るような目つきで、笑い掛ける。ばばば、バッカ言うなよ!おれぁ天下の、トキワ荘のカサノヴァだっつうの!憤然と、もう何度も繰り返した自慢話を蒸し返す渡辺電機(株)さん。曰くおれはマンガの神様の誰それを無理やり犯した、曰く女流大御所は全員おれのお手つき、曰く某オカルトの大家は必ず若い女性編集者を担当に指名してベッドイン要求、曰く亡くなった車椅子の天才作家は裏ビデオの収集家だった、曰く世紀末リーダー伝某の作画スタッフは川崎ソープをオゴられ放題、曰く低俗霊狩りの先生は仕事場に来た女性は全員、と、そこまで言って突然棒のようにぶっ倒れた渡辺電機(株)さんのうなじには、深々と毒矢が刺さっていた。いくら嘘が前提のブログでも、暴いてはならない闇がある。そんな教訓を残して、彼は星になった。

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好き好きシャーツ

ちんぽを回転させて竜巻を起こすトルネード投法で一世を風靡した渡辺電機(株)さんだが、引退後の人生はみじめの一言だった。磨き抜いたちんぽ回転技術も一般社会では全く役に立たず、アドバイザーの誘いを受け、満を持したミズノの面接でも、露出魔の破廉恥漢と嗤われ、交通費の図書カードと販促ボールペンを受け取り、丁重に追い返された。こんな経験を繰り返す内に、渡辺電機(株)さんの天使の笑顔は失われ、いつしか彼は、般若の顔でこの世への恨みつらみを口汚く吐き散らすコジキとして、街の鼻つまみ者に落ちぶれた。そうなっても、いつ呼ばれてもいいように、ちんぽの回転の練習は欠かさないまま、不遇のままに850年の生涯を閉じた。人類はすでに滅亡し、彼を看取る者も無かったという。

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はかない夢

出所後、漫画家を目指して40年。やっと女の子の右向きの顔を描けるようになった渡辺電機(株)さんだったが、もうこの世を去る時が迫っていた。神様、あんまりやで。中央線ガード下、ダンボールの死の床で、叶わなかった漫画家の夢を想い、涙を流す老いた渡辺電機(株)さんを、神様はお見捨てにならなかった。目の前が暗くなり、意識が遠のいたと思った刹那、眩い光に包まれ、渡辺電機(株)さんは周りを見回した。リングアナのジミー・レノンのゴールに応えて片手を挙げ、鋭いシャドー・ボクシングを披露して渡辺電機(株)さんを睨みつけるマニー・パッキャオ。続いてコールされる、渡辺電機(株)さん。世界最強の男VS素人!超満員のマジソンスクエアガーデンで、世紀のビッグマッチの幕が開けようとしていた。

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Let's ダチ公

タイマン張ったらダチよ!勝負だッ!そう言って立ちはだかった舛添要一氏を、すいません興味ないっすと軽くいなし、してやったりの意地悪な笑みを浮かべて通り過ぎようとした渡辺電機(株)さんだったが、さすが横綱は人間の器が違う。やるかァッ?来い‼︎そう叫んで両手を広げ、舛添氏に立ち向かった。バカが横綱に叶うもんか、ひとひねりだぜ。ざまあみろ!歯を剥いて笑う渡辺電機(株)さん。だが、激しいパンチの応酬の末、鼻血を出してマイッタを言ったのは、横綱の方だった。相手が誰であろうと男を貫く舛添氏の漢気を肌で感じ、マブダチに値する真の漢と認めたのである。チョッ、つまんねえ!舌打ちする渡辺電機(株)さんをじっと見つめる横綱の、冷めた視線。あれほど堅く誓った友情も、永遠ではなかったのだろうか…

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