渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

宇宙の果てを超えて

角川春樹と共に、古代船「野生号」、ヨット「野生号Ⅱ」に続き、光子力推進ちんぽ「野生号Ⅲ」の建造に着手したと発表、一躍マスメディアの寵児となり、クラウドファンディングで数千万の資金を集めた渡辺電機(株)さんだったが、角川春樹事務所が公式に事実を否定するに及び一転、詐欺師として世間の批判を浴び、鴨川河川敷にブルーシートで作った自宅に、報道陣が押し寄せた。野生号Ⅲは、ここにあります。おびただしいカメラのフラッシュを浴びながら、渡辺電機(株)さんは臆することもなく微笑み、己の下腹部を指差した。さあ、乗りなさい。みんなで、宇宙の果てを目指しましょう。なんだこのキチガイ、妄想狂か脳梅か?ざわめく報道陣に向けて渡辺電機(株)さんが開陳した、湿った小ぶりのちんぽに、黙って手を差し伸べる老人。角川春樹その人だった。おれは信じてるよ、電機さん。さあ行こうぜ、宇宙の果てへ。やがてちんぽは発光を始め、白く暖かい光球が、無言で見つめ合う渡辺電機(株)さんと角川春樹を包み込んだ。まばゆい光が薄れていくと、もう2人の姿はなく、呆然と立ち尽くす報道陣が残されていた。宇宙の果てに行ったと誰しもが思った2人が、姿と名前を変えて帰って来たのは、翌年の春のことである。その時彼らは、やまかつWinkと名乗っていた。