ジブリ美術館でおれの盗撮動画が多数公開されているとの確信を得て、現地まで赴いて抗議しようとしたのだが、前売りのチケットがないと入場できないと、取り付く島もない。屈辱を飲み込んで、言われたとおりにチケットを買おうと駅前の金券ショップに行ったが、おれの手にした血まみれのチェンソーを目にした店主があわててシャッターをおろしてしまった。仕方なくチェンソーの電源を入れ、シャッターを開けようと奮闘していたら、だんだん周囲が騒がしくなり、気がついたら装甲車に囲まれて重装備の警官にショットガンを突きつけられていた。そして、そんなおれの様子を電柱の影からスマホで盗撮する宮﨑駿の姿が、背後にハッキリと感じられ、おれは絶叫しながらチェンソーをふりかざして突進した。複数の銃声。足の力が抜け、視界いっぱいの青空が、血に染まる。なんでや。ジブリは、人に夢を与えるんや、なかったんかい…。
