渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

魔んが道

電子書籍が猛威を振るった後には、音楽と同様にアンプラグドの波が来るぞ!と、木版・和綴じの週刊漫画誌の創刊を提案したが、加藤編集長はチラリとおれを蔑んだ目で一瞥しただけでタブレットに視線を戻し、スカイプで手塚先生を監視しながら、次号「漫画少年」のネーム入れの作業を続けていた。学童社も変わっちまったよ!辞めてやらぁこんな会社!企画書を床に叩きつけ、涙ながらに編集部を飛び出し、本社ビルを出ようとしたところで、ベレー帽姿の若者に声をかけられた。「やあ!君もまんがを描くのかい」返事をする間もなく若者はおれを抱きすくめ、ムクムクと巨大化しながら「ぼくの名前は角田次朗!まだ作品を発表していないが、そのうちきっと有名になってみせるよ!」言いながらソフトクリームのようにおれの頭をかじるものだから、おれにはもう、その言葉が聞こえなかった。

「売れ線狙いもTOTOまで行くとあざとすぎてイヤらしいが、Styxのどんくささは逆に許せる」みたいなレビューを当時読みましたが、売れれば売れるほど「お里が知れる」感じの垢抜け無さがにじみ出て、まあたしかにそこが親しみやすかったです。

グランド・イリュージョン~大いなる幻影(紙ジャケット仕様)

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