おまえを赦さない

大学生の会社訪問の解禁日に合わせ、大学の講堂に３回生を集めて出陣式が行われ、壇上からラグビー部の花型部員による恒例のボールキックがなされる様子を、ＴＶのニュースで初めて知ったおれに、就職活動というステージに上る資格は最初から無かった。おれにはそれらの情報もノウハウも一切入ってこなかったので、みんながテキパキと企業のOBにアポを取り、いつの間にか仕立てたスーツで颯爽と部室に現れ戦果を報告しあう様を、呆然と眺めるしか無かった。その流れに乗る方法も知らず、とりあえず「マンガでも描くか…」とボンヤリ思っていた。その春の同人誌に発表したウンコのような処女作を、亀山さんという先輩が「面白かったのキミのだけだよ」と褒めてくれたのだけが、拠りどころであった。密かにシークレットシューズを履いておられたらしいが、お元気だろうか。

ナイト・オン・ザ・タウン・デラックス・エディション