渡辺電機(株)

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家さえ飛び出なければ今頃みんな揃って


高井研一郎先生といえば赤塚先生の初期の重要なブレーンで、後に独立してヒット作を多数生んだ実力作家ですが、ブレーン時代に同じくフジオプロ仲間の山内譲二先生と「太宰勉」という合作ペンネームで作品を発表していました。その仕事のいくつかは、そこそこの金を出せば古本で目にすることが出来ます。これが実際に読んでみると、赤塚作品の中で彼らがどんな役割を担っていたか、そして赤塚先生ご自身が抜きん出ていたのは何だったのか、それが浮かび上がってくるので、非常に興味深いものがあります。ギラついた派手なキャラたちが織りなすドタバタは一見、赤塚作品そのものですが、極めて表面的で深みの無い人物、ストーリーは見事にグダグダ、あの転げ落ちて行くような軽快なテンポもありません。一言で言えば時代の徒花で、エピソード1本通読するのも苦痛ですが、このケバケバしいC級感がまたたまらんのです。赤塚先生の真価は奇矯なキャラクターやドギツいギャグではなく、それらをキチンと読めるお話にまとめあげるストーリーテリングの才能だったのかなあと。イエスのクリス・スクワイアみたいなものですかね(てきとう)

そうそう、上の太宰勉「ジンクスちゃん」(曙出版)は貸本流れのボロボロの状態で800円でした。

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