90年代くらいまで阿刀田先生の恐怖アンソロジーがよく出ていたが、最近はどうなのだろう。おばけや吸血コウモリや魔の山や残忍殺人マニヤなどはあまり出て来ない、どちらかというと人間の業や情念の恐ろしさに重きを置いた「じわじわクる」セレクションだったので、昨今のモダンホラー読者にはぜんぜん食い足らないかもしれない。おばけも残忍殺人マニヤもVHSテープの磁気の中に住む髪の長いキチガイ女も出て来ないからな。もっとも、昔のでも大下宇陀児とかミステリ畑の人のは、なんかスッキリと割り切れてしまう物足りなさがあった。理詰めでお話を作って行くからであろうか、物語のために人物が用意されてる感じが…。
- 作者: 阿刀田高,日本ペンクラブ
- 出版社/メーカー: 福武書店
- 発売日: 1989/05
- メディア: 文庫
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