少年サンデーの「仮面ライダーBlack」は石ノ森先生の最後の少年誌連載だったと思うのだが、オレもベタ・ホワイトでほぼ連載終了までお手伝いさせていただいた。なんだよこのグニャグニャのワケわかんねえ線は、知らねえぞーと思いつつベタを塗ったら、クモ男が勢いよく吐き出す白い糸が闇の中にあざやかに浮かび上がって、感動したものだ。見開きに人物2人が小さく小さく描かれ、横にエンピツで小さく「ギガ」と殴り書きされた真っ白なページには、チーフの山岡さんがギーガー「ネクロノミコン」を参考に、実に見事なゴルゴム基地を描き込んだ。自宅から遠く離れて、先生は絶対に来ないオフィスに作業場があったので、先生から原稿が届くまではスタッフ一同ダラダラゴロゴロして、人生の「仮面ライダーZS」シリーズやSTALINの「スターリニズム」、フリップ&イーノなどをガンガンに流してエロトークや馬鹿話に興じていた。沢田一がスパークス「キモノ・マイ・ハウス」をあまりにも何度も何度もかけるので、喧嘩になりかけたりもした。そんな中で描かれたライダーBlackの原稿、実は光太郎の髪の毛やシャツのベタ部分のいくつかの箇所で、サインペンで描かれた「オナ二ー」という文字がベタズミの下から浮かび上がっているのは、オレの仕業です。すみません。
- 作者: 石ノ森章太郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1998/09
- メディア: 文庫
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