渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

出たドバブー ジャーン!


某氏からお借りした谷岡ヤスジ師匠の往年の単行本、「オラオラオラ」「しまいにゃ血みるドワンラ!!」「じゃる気あんのかワンラ!」3冊を、1日1冊ずつ熟読いたしました。1970年から71年にかけて、漫画サンデー実業之日本社から刊行された短編集。当時の少年誌から青年誌からエロ本から実話雑誌に至るまで、ありとあらゆる媒体の巻末2色の4ページに描き殴った、Gペンによる暴力。正直、感動した。オレも含めた凡百のギャグ漫画にみなぎる「誉められたい」色気が、ここにはみじんも無い。タイトルからも察せられるように、ただただ〆切りに間に合わせること以外、恐らく本当に何も考えていない。「ナマ原稿を電車の網棚に置き忘れて青ざめる編集者に、目の前でアッと言う間にもう一度原稿を描き上げて渡した」「編集者に原稿を二つ折りにして渡した」等々の伝説は実話に違いないと、確信した。ギャグの本質的なツボとエンターテインメントの限界を心得ているから、行き当たりばったりで描きなぐっても、面白い。(むしろ慎重にブレーンストーミングを重ねたと思われる「ド忠犬ハジ公」は駄作だった…。)そして、あまり言われないが、実は絵の基礎はかなりしっかりしてる。デッサンをやってないと殴り描きでボインのギャルはそうそう描けない。うぅむ。40年前の低予算なやっつけ本に、こんなに衝撃を受けるとは…。返したくないので、あいつとは絶交だ!でもやっぱそれは悪いので、無くしたことにしてお詫びに福砂屋のかすていらでも贈っておこうと思う。