渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

おかしな二人

1989年、ドラゴンマガジンにて「まじかる勇者☆ぱんつ」でデビューするや、江藤淳、奥野健男らに「椎名麟三の再来」「堀田善衛の後継者」と激賞され、90年代以降の日本文学をリードすると思われた渡辺電機(株)さんだったが、面白半分にスプリットタンを試みたところ、切れ目がドンドン伸びていって、とうとう身体が縦に2つに割れてしまった。左半身は以後も文学の道を邁進し、「都市の舌苔」「辣韮」「私を女優にして下さい」などの傑作を残したが、右半身は政治的にラディカルな発言が次第にエスカレート、ついには社会党の浅沼委員長の刺殺を試みて失敗、投獄された。出所後はアダルトビデオの男優に転身、「しみけん」の名で人気を博したという。

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男のスタミナ料理

体中に食いついた大量のヤツメウナギをぶら下げて、悲鳴を上げながら全裸で湯の中から飛び出してきた渡辺電機(株)さんを、安倍総理は暖かく出迎えた。総裁選の最中でなければ、いくら総理でもこんな無礼は許しはしなかっただろう。だが、今は好感度に重きをおいた大切な時期。マグナム44を構えるSPを制し、浴槽の中でふくよかな裸体を回転させ、ゆっくりと渡辺電機(株)さんに近づくと、一匹のヤツメの尻尾を口にくわえる。ちゅるん、と音をさせ、一匹を丸呑みした。すると総理の頬に朱が差し、上半身がみるみる紅潮する。これは精がつきますね!思わず笑みを浮かべ、さらに二匹、三匹と吸いつき、チュポンチュポンと丸呑みすると、その全身は黒い剛毛に覆われ始め、顔は口が耳まで裂け牙をむき、野獣の咆哮を上げて立ち上がる。もう身の丈は5mを超えていた。ヤツメパワーで獣人と化した総理は、対立候補を八つ裂きにして食い殺し、あっけなく総裁選を終結させた。そして、そのヤツメウナギがもともとは渡辺電機(株)さんの身体から養分を吸い取っていたことを、総理は決して忘れてはいなかった。無職の身ながら副総理に抜擢された渡辺電機(株)さんの身体は、ヤツメに水分と養分を吸い取られて完全に干からび、衆院予算委員会の討論が熱を帯びる中で、大臣席で時折パキパキと音をさせ粉をふきながら、ゆっくりと崩壊して行った。

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包丁無宿

タイ米をバナナやタロイモ、ココナッツとともにゴリラの口に含ませて一昼夜、唾液を吸って体温で熱せられ、程よく発酵させて作る、渡辺電機(株)さん特製のゴリライス。「トロピカルなれ鮨」とも呼ばれ、坂上忍さんやダレノガレ明美さんなど多くの芸能人が舌鼓を打ったが、彼らが食中毒でこの世を去ると、ブームは収束し、渡辺電機(株)さんの行方も分からない。本当に、この世に実在したのか…。

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浪花のブラックホール

オール阪神・巨人の巨人師匠が、1985年に全裸詐欺で逮捕され芸能活動から引退状態にあった80年代後半、代役として渡辺電機(株)さんがオール巨人を名乗って舞台に上がっていた事実は、「無かったこと」として吉本の社史からも抹消され、当時の映像や写真資料も全く残っていないという。その頃のことについて、阪神師匠がついに重い口を開くというので、会見に集まった報道陣は多すぎて会場に入りきらず、奥の方では押しつぶされ圧死した記者も多かった。そして登場した阪神師匠の姿に、その場にいた誰もが息を飲んだ。その全身が放射性同位元素に変化した阪神師匠は青白く光を放ち、瞬きをするたびに、顔の周囲に火花が散り、空間が歪んだ。次第に空間の歪みは師匠の周囲にすり鉢状に渦を巻き、師匠を中心にゆっくりと回転しながら、吸い込まれ始めた。世界の、宇宙の終わりだった。

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隅田川大惨事

地下鉄日比谷線を入谷駅で降りて、3番出口すぐの角を入って千束方面に真っ直ぐ進んで行き、途中の「花見煎餅」で渡辺電機(株)さんの好物「大便もち」を購入、さらに進んで花園通りに合流する辺りから、ちらほらと見えるトルコの看板に混じって、渡辺電機(株)さんの描いたグラフィティが街を彩り始める。猿の交尾や下腹部を露出した横綱、首から下がバッタの安室奈美恵などを描いたそれらは、渡辺電機(株)さんが吉原の街を愛した証であり、この地で悲劇的な爆死を遂げた彼の墓碑銘でもあった。わては死んでへんで。きょとんとした顔で壁からふるちんで現れ、プレイルームや待合室を横切って壁に消える渡辺電機(株)さんの霊を、吉原の人々は「おふろの守り神さま」と呼んで、永く愛したという。

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りゅうちぇるの恋愛観

腹いっぱいカニ食わせてやるよ!と安請け合いをしてしまった渡辺電機(株)さんが待ち合わせ場所に行くと、横綱に引率された200人からなる力士の集団が待っていた。行儀よく二列縦隊に並び「小さく前へならえ」をする力士の顔は、一様にカニへの期待にはちきれんばかりの笑顔で輝いていた。こんなこともあろうかと、出囃子に乗ってどもども〜〜と全裸で登場、巨大なフリップを取り出した渡辺電機(株)さんは、マジックで大きく「カニ」と書き、「ニ」の真ん中に縦の線を引いて「士」に変え、カニではなくて力士!力士食い放題でした〜〜〜ん♥!とおどけると、左右の乳首から紫色の液体を放出して、水中に逃げた。あとはもう、力士たちの凄惨な共食いの修羅場となった。

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永田町に死す

ブリブリスパーン!!と、軽やかな破裂音とともに今朝も元気に脱糞した渡辺電機(株)さんだったが、毎朝のことゆえ、さすがに国会議事堂前の警備も強化されており、正門前に巨大な大便の山を築きながら勢いでスパンスパンと宙に浮く渡辺電機(株)さんを、間髪入れず機銃掃射の雨あられが襲った。何一つ悪いことをしない人生を、なぜこんな死に方で終えなければならなかったのか。ニュースにもならず、アスファルトにわずかな血と大便のシミを残すのみで、静かに忘れ去られた渡辺電機(株)さんの最期の地を、公用車で通過する際に、安倍総理だけは常に黙祷を欠かさなかったという。

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