渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

しあわせ大相撲

あっ、ズル!満員御礼の出た国技館に響く、横綱の声。かまわずマシンガンを乱射する、対戦相手の渡辺電機(株)さん。だがこんな事もあろうかと、弾倉の中身は横綱の付人北の湖によって、力士たちのきんたまとすり替えられていたのである。横綱の胸板でポコポンポコポンと弾む可愛らしいピンク色のきんたまに、横綱も渡辺電機(株)さんも、満員の観衆も、微笑みを浮かべて楽しそうに拾い集める。おいおい、逃げるない。そっちの隅っこ、行ったぞ。幸せそうな歓声が巻き起こる中、横綱の付人に化けた北の湖が、優しく微笑んで天に還って行く。昭和の大横綱に見守られて、国技大相撲は平成も次の時代も、ますます発展して行くのだった。

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不惜身命

両国国技館の売店で琴欧洲キティちゃん湯呑みを万引きしようとして、会場整理係の貴乃花親方に捕らえられ事務所に連れていかれた渡辺電機(株)さんは、雨あられと振り下ろされる親方の拳で血まみれになりながら、ちんぽを見せるので許してくださいと涙ながらに懇願した。あ、それはもう是非。ちんぽと聞いて態度を変え、折り目正しく会釈をする親方に、渡辺電機(株)さんはシメシメと自慢のししとうのような小ぶりのちんちんを披露したが、親方は表情を変えず、続けて下さい、と促した。渡辺電機(株)さんは舌打ちし、じゃあこれでどうだ?と、可愛らしいまくわうりのような尻を露出した。いいですね。どうぞ、続けて。さらに促す親方。やがて結びの一番も終わり、照明も落ちた深夜。無人の事務所に、むき出しの小ぶりの脳みそがひとつ、残されていた。

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男の流儀

脱サラしてペンション経営の夢も、定年退職してそば屋を開く夢も、生涯無職ゆえ、ついに果たせなかった渡辺電機(株)さん。それでも空き缶拾いやドブさらいでコツコツ小銭を貯め、二億円のキャッシュで根室半島の広大な原野を購入。全裸の国と称して独立国家を宣言。ふるちんの中年男性が湿原で戯れる光景が観光客を集め、莫大な外貨を獲得して、全裸国防省の装備を充実させて行き、ついには日本政府に対し宣戦を布告。おもちゃの銃を持ったふるちんの中年男性が行儀よく行進する様子は「かわいい」と婦女子の人気を集め、キャラクター商品もヒットしたが、冷酷無比な安倍政権により、みなごろしにされた。許さない!

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木魚

アンパンにはアンがはいっているのに、うぐいすパンにウグイスが入っていないのは、何故なんだ…。ココロのボスがまだ存命だと聞いて早速訪ねた渡辺電機(株)さんだが、すでに50年の時が流れて齢90近いボスは記憶も曖昧で、自分がタヌキであることも忘れ、薄い頭髪をポニーテールに結い、ペイズリー柄のシャツに黒革ベスト、ベルボトムのジーンズに蛇革ブーツという出で立ちで、モーリスのギターをかき鳴らすその姿にピンと来た渡辺電機(株)さんは、フォークデュオ結成の話を持ちかける。「スーパースターも夢じゃない!」数年後、2人がストリートの若者のリアルを切り取ったビビッドなラブソングでチャートに登場した時、彼らはテツandトモと名乗っていた。新たな時代の、到来だった。

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メン・イン・ブラック

「黒ん坊お断り」の張り紙があるにも関わらず、堂々と店の正面玄関から入ってきて「はしではなく、真ん中を通って来ました」とドヤ顔でうそぶいた渡辺電機(株)さんだったが、とんちが間違っており、問答無用で射殺された。渡辺電機(株)さんの霊を鎮めるために作られた歌がやがてゴスペルと呼ばれ、末永く世界中で親しまれて行くのだが、この起源は米国史の闇に葬られた。そして、2018年。今年も渡辺電機(株)さんは、玄関の真ん中を通って現れた。全裸で乳首にボンボンを着けた黒人男性の出現に、騒然とするアニメイト帯広店。平成の世が、終わろうとしていた。

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ヘアヌード元年

叶姉妹に対抗して、加納姉妹!そう絶叫してコミケ会場に女装して現れた加納典明と渡辺電機(株)さんだったが、加納は乳も露わなコスプレイヤーたちを見るや「キくぜ!」と叫ぶと、カメラを担いで風のように飛び出して行き、群衆の中に消えた。取り残された渡辺電機(株)さんも、名前が加納でないことが露見、ローアングラーたちに袋叩きにされた。鼻血を流して土下座をする渡辺電機(株)さんの背後で、コスプレ広場に吊るされる加納典明の死体のシルエットが、強烈な西日の逆光の中、有明の浜風に揺られていた。

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俺たちの季節

TVドラマ「大横綱白鵬物語」が感動を呼ぶ中、劇中で完全に存在を黙殺された渡辺電機(株)さんは、悔しさを露わに宮城野部屋の朝稽古に怒鳴り込んだ。このや郎ッ!だれのおかげで今日のてめェがあるのか、忘れたのかよーッ!全裸で乳首に結びつけたボンボンを振り回しながら乱入して来た渡辺電機(株)さんを、横綱は横目で一瞥し、言葉を発しなかった。「あ…。」渡辺電機(株)さんは、横綱の冷めた顔から、全てを理解した。その「迷惑なファンへの対応に慎重になりつつ、追い返すタイミングを伺う有名人」の表情は、もう横綱が渡辺電機(株)さんの妄想に付き合う気がないことを、残酷に物語っていた。おれたちの季節は、終わったんだな…。パトカーに乗せられながら、渡辺電機(株)さんが浮かべていた微笑みの意味を、横綱だけは理解していたが、背を向けて四股を踏み続け、決して振り返ることは無かった。

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