21世紀の初め頃には「万枚の電」と称してスロプロで鳴らした渡辺電機(株)さんだったが、その実態はスロット実戦での収支はむしろマイナスで、ダイヤルQ2での怪しげな攻略法の販売や、いくつかの店舗とアドバイザー契約を結んでスロプロ対策を伝授（もちろん裏ではスロプロ側とも通じていた）したりと、かなりいかがわしい商売で稼いでいた。高名な法律家の家に生まれ日本文学を愛した彼が、なぜそのような稼業に就いたのか。その秘密を解き明かすため、横綱は初場所の千秋楽の優勝祝賀会を終え支持者の最後の一人を見送るやいなや、くるりとトンボを切ってその姿を一羽の白い鷹に変え、はるかチベットの奥地を目指し飛び立った。その後を追う、渡辺電機(株)さんの差し向けた殺人カラス天狗軍団。美しく気高い白鷹と、おそろいの赤い烏帽子をかぶった殺人者たちとの、息詰まる追跡劇が始まった！
一度は師と仰いだ宗教家マハリシ・ヨギの俗物ぶりに失望して書いた歌詞は"However big you think you are"「あんた何様のつもりだい？」と身もフタもない個人攻撃の、あんまり感心できない成り立ちだが（最初はもっと直接的な罵倒の歌詞だったのを、メンバーに説得され表現をボカしたとのこと）、これが極上のメロディに乗ってジョンのナイフのような声で歌われると、彼の味わった絶望の深さが浮き彫りになっていよいよ美しいという、困った名曲。
