ダーティペヤを馬鹿にしたという理由で、イオンモールのアニメイトでキチガイオタクに刺されて以来、渡辺電機(株)さんはすっかり大人しくなり、むやみに他人の趣味に口を挟むようなことは無くなった。たった今も土俵入りに向かう横綱が、太刀持ち露払いと仲良く3人で、白のブリーフ姿でスキップしながら通り過ぎて行ったが、渡辺電機(株)さんはブツブツ独り言を言い、へらへら笑って顔をくしゃくしゃにしただけだった。やがて館内から怒号と悲鳴が聞こえ、たんこぶだらけで目を真っ赤にした横綱が、なんで止めてくんないのぉと泣きじゃくり、渡辺電機(株)さんの胸に飛び込んできた。体重500kgを超す横綱に押しつぶされ死んだ渡辺電機(株)さんを偲び、いまも白ブリーフで現場を訪れ涙を流す力士の姿が、絶えることがないという。
