新しき尻よ目覚めよ

路駐していたチャリのチェーンキーを外そうと鍵をつっこんでひねったら、なんか感触が違う。あれっと見たら、鍵が根元から曲がりネジ切れて、鍵穴の中に本体が差し込まれたままどうにもならなくなってしまった。家から10ｋｍ離れた新宿西口の路上でその場に座り込み、助けて下さいッと絶叫などはせず、無表情のままスタスタと新南口の東急ハンズへ向かい、金切りバサミを千円で購入して引き返し、往来の雑踏の人目も気にせず、ゴリゴリとワイヤーを切断した。元から雪駄を履いた目付きの悪い中年男、誰もが見て見ぬふりをしていた。そう、警官さえも…。とうの昔に死んでおり、誰の目にも彼の姿は見えなかったのである。朽ち果てた自転車は、いつまでも放って置かれたという。

日本でまだデペッチュモードと呼ばれていた頃。

Speak and Spell