森安なおや氏の評伝を読んでみたのですが、なんだかテレビのドキュメントの受け売りと憶測による決めつけが余りにも多くて、記録としての価値はあまり感じられませんでした。ドキュメント番組の画面で展開した話だけから推測を広げる場面はしばしばみられ、実際に出演した研究家や編集者たちにウラをとる手間すら惜しみ、エモーショナルな妄想だけで結論を出すようでは、素人のブログと何ら変わらんです。数十年前の、証人の多くが鬼籍に入ってしまった出来事ですから、取材して歩くのはとても骨の折れることですが、それは初歩の初歩の大前提で、それができないなら最初から本にすべきではねえです。口直しに、少年画報社から出たコンビニコミック版「鬼嫁と僕」を読みました。家庭を持った覚悟もなくダラダラと子供のおもちゃの延長で趣味のMacにしがみつく主人公の愚痴は、同じMac使いのオレから見てもあんまり共感できませんが、マンガとしては作家の力量に助けられて、現代版「ダメおやじ」とも言える上出来のエンターテインメントに仕上がりました。オススメ。原作者は漫画家に土下座してMacを進呈し、尻も差し出すべき。
- 作者: 呉エイジ,金平守人
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2011/06/13
- メディア: コミック
- この商品を含むブログ (1件) を見る
