田中哲弥さんの短編集「猿駅/初恋」を読んでいます。この人の本はこの10年くらいに3冊ほど読んで、面白いと思ったためしがないのですが、これはキモチいいですね。筒井康隆や椎名誠など日本SFでは伝統ともなっている、どこにでもある日常にクサビを打ち込んで亀裂を広げて行くような、「奇妙な味」の作品集です。ソープの待合室で半分ほど一気に読んでしまいました。残りは、家でうんこをしてから…と言ってトイレに姿を消した男は、2度と出て来ることがなかったという。その家もとうの昔に朽ち果て、彼を覚えている者もいない。
- 作者: 田中哲弥
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/03
- メディア: 単行本
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