渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

Schoolboys in Disgrace

遅まきながら、中村うさぎ先生のデリヘル嬢体験記を読み中です。物書きの女性が風俗に潜入して就職〜講習〜同僚と接触〜接客と体験すれば、普通は取材モードになって周囲の事象を観察しまくるはずなんですが、この人の場合は、この環境に飛び込んだ自分の内面をひたすら見つめ続けているのが、面白いです。熟女ヘルスの待機室にいる面々なんて、人生煮詰まって面白過ぎるバックグラウンドの持ち主たちのはずなんですが、この人はそんな場所でも「源氏名を名乗って自己紹介する自分」を見つめ続ける。物書きとして何かが欠けてるとも言えますが、そこの歪みが面白いとも言えます。イヌボンの頃からブレてないなあ、と…。この一連の自己解体路線、さらに読み進めてみたいと思います。なんかどんどんエスカレートしてるらしいので。
で、後半まで読みましたが、この人やっぱライターじゃなくて作家なんですね。本当に自分だけを穴が開くほど凝視してます。これはすごい。いにしえの代表作のタイトル「ゴクドー君」が、今になって意味を持ってきました。

私という病 (新潮文庫)

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