渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

ハレンチ漫画家一代記

アフィリエイトで一攫千金!と筆を折り、マンネリを感じていた漫画家の職を辞して、アダルトサイト業界に飛び込んだ石ノ森章太郎だったが、濡れ手に粟の時代はとっくに過ぎ去り、日々のマメな更新とアクセストレードの地道な作業の繰り返しだった。それでも章太郎は頑張って頑張って、ついには2万アクセス/日の大手サイトにまで成長させ、Google画像検索「おまんこ」サーチで画面上部にズラリとあの自画像が並ぶまでになった。そこまで到達して得たものと言えば、月に数十万のアフィリエイトマネーと、得も言われぬ虚しさであった。ぽっかりと心に穴が空いたような気持ちで、今日もエロ動画の紹介文をモノスゴい速度で書き上げる章太郎は、窓から飛び込んでPCの液晶にとまったショウリョウバッタの姿に、ふと目を上げた。思わず手を伸ばそうと身体を動かす前に、気配を察して勢い良く跳び去ったバッタの猛々しい生命力に、彼は天啓を感じた。まんがを描こう。そうして生まれた傑作「仮面ライダー」はキャリア中期の代表作となり、アダルトサイトもますます発展を遂げ、巨万の富を築いた彼は東京湾の真ん中に巨大ピラミッドを建て、齢150歳を超える今も、健筆を振るっているという。

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モーニングティー

ガラッガラに空いてるドドォールで、マンガのネームをシコシコ描いておりましたら、常連の少し頭をやられた女性が入店、オーダーしたアイス珈琲を手に、一直線に小生の隣の席に着かれました。先も申し上げたように、店内ガラガラです。緊張でシャーペンを持つ手に汗がにじみます。女性はいつものように、対面に座った見えない誰かと意味不明の会話を繰り広げながらニコニコと微笑み、美味しそうにアイス珈琲をすすります。小生の目はノートに注がれ、アイディアを書き留め、目を閉じて渋面を作ったりしますが、全神経が隣に集中しております。女性はドリンクを飲み終えると素早く立ち上がり、トレーを片手に小生の肩をポンと叩き、囁くのでした。「真面目にやらなあかんで」しなを作って去っていく背中は、明らかに西川きよし師匠その人でした。見ていてくれはったんやなあ。直立不動で見送るその後ろ姿が、表通りに出るなりダンプカーに跳ね飛ばされ、視界から消えた。

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災の言霊

成城学園に教団施設を建設する費用を捻出するため、生原稿を売りにまんだらけに行った。これはちょっとお値段付けられないですね…と言うので、そんな高いんすか?と目を輝かせると、店員は申し訳無さそうに目を伏せ、どうぞお持ち帰り下さいと言うなり、何か用事を思いついたテイで、そそくさと立ち去るのだった。わしをなめとる!

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いつかギラギラする日

アズキをとごうか、人をとって喰おうか、ジャラジャラ…。いつもそう絶叫しながら、街で子供を追い回して妖怪ごっこをしていた渡辺電機(株)さんは、地元の小学生たちの間で「おばけのおっさん」と親しみを込めて呼ばれ、給食の残りのパンや牛乳をもらって生きながらえていた。彼がいつしか人間の心をうしない、自らを本物のおばけと思い込むようになったのも、必然と言えよう。おばけのおっさんこと渡辺電機(株)さんが、いつどのようにその生涯を終えたのか、今では知る者も無いが、お盆の終わり頃になると、どこからともなく聞こえるアズキを洗う音に、彼のことをふと思い出す者もいる。そんな季節が、また今年もやって来た…。

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おたく族よ街に出よう!

みなさんこんにちは。コミーケでした。大勢の人に「今日の新刊は」と訊かれ「今日の新刊は無いのですがこちらが5月のコミテヤの新刊で」と説明の途中で帰られて、背後から罵声を浴びせて揉み合いになり鼻血を出すなどの作業をこなしました。みなさんありがとうございます。定番の、全ての本を顔をくっつけて立ち読みして何も買わず立ち去るオタクもいて、性欲が高まる一方です。おれの本は、苦み走った系のおたくの方にはよく買っていただけるのですが、口半開きキョトン系のおたくの方には、まず買ってもらえません。おかすぞこのや郎。と呟いたところをたまたま神様が聞いており、渡辺電機(株)さんは来世でカメムシにされました。

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おれの秋葉原

セガサターンとバーチャファイターのセットを求めて秋葉原の中央通を全力疾走で渡ってから22年が経つのだが、まさか未だに駆けずり回って探し続けていると、誰が予想したであろうか。何しろこの中央通がやたらと広く、走っても走っても向こう側にたどり着かないのだ。などと、22年前にソフマップの車にはねられて死んだことに気づかないまま、今も秋葉原の大通りをさまよい続ける渡辺電機(株)さんだが、あの加藤死刑囚の起こした痛ましい連続殺傷事件の際は、たまたま湯島小学校向かいの公園のブランコに座ってケバブにかぶりついていたため、被害には遭わなかったという。

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