渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

Yes We Can

電機サン、オマンコオマンコ。そう言って、人差し指と中指の間から親指を突き出してゲラゲラ笑う無邪気な姿は、ついこの間まで大統領として全米の頂点に立っていた男とは思えない。今はその重責からも解き放たれ、地位も責任もない一人の黒人として、おれみたいな三文漫画家の貧乏旅行に付き合って、JR五能線の日本海が広がる車窓に歓声を上げ、景色に飽きるとまたオマンコオマンコとじゃれついて来る。いろいろストレスも溜まってたんだろうなあ…。これからどうすんのよ。ひとしきりはしゃいだ後にふっと静かになった元大統領に尋ねると、五所川原デ津軽鉄道ニ乗リ換エテ、五農校前カラ金木、毘沙門…。ちがうちがう、仕事は何やんのって。訊いても応えず、津軽鉄道の駅名を機会的に列挙してつぶやきながら、だんだん発音が不明瞭になり、その体は次第に黒く湿った肉の塊に変わっていった。

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漁港で食べるオススメ漁師めしの店10選!!

夕食のフナムシ山盛り丼、おろしポン酢とフナムシの磯の香がマッチして最高でしたが、食後に大将が出てきて、さきほどのフナムシ、湯通しするの忘れてましたって。おいおい食っちまってから言うない!言った自分の声がもう、キイキイいう虫のそれだったので、手遅れを悟りました。もうすぐ人間の心も忘れてあなたに襲いかかってしまう前に言っておきます。モンゴルから日本に来て相撲道ひとすじ、何も悔いはありません。ギギギ…

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ル・ビッグマック

絶対ドロップハンドルのスポーツ車が欲しいと言って、売り場のフロアに座り込み駄々をこねる白鵬。これがあの最強横綱とは、信じがたい。ママチャリ乗らないッと、野太い絶叫が店内に響き渡り、周囲の客もくすくす笑いながら見て見ぬふりをしている。ほらぁ横綱、ドルジに笑われちゃうよ?と、立たせようと腕をつかめば、いやいやをするように首を振ってぶら下がってくる。結局、ドロップハンドル以外なら好きなものをということで妥協、ドレミセブンの補助車付きのを買わされた。どうも最初っからこいつが目当てだったような気もするが、無邪気に乗り回す横綱の笑顔を見ていると、まあ、幸せってこういうことなのかなと…。その直後です、ジョン・トラボルタとサミュエル・L・ジャクソンが現れて聖書の一節を読み上げ、横綱をハチの巣にしたのは。

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蛹の季節

宮城野部屋の稽古場に白鵬を訪ねたが、薄暗い土俵は無人で、上がり座敷も静まり返っていた。気配を感じて見上げた天井には、人間の倍ほどもある大きさの蛹が、折り重なるように何体も、果実の房のようにぶら下がっている。この季節が来たか…。おれは業者を呼んで蛹を全て下ろしてもらい、土俵に積み上げた。無人の調理場から天ぷら油の2リットル瓶を持ってきて、蛹の山にドボドボと、まんべんなく振り掛ける。羽化した力士はあたり構わず飛び回り、ちゃんこを食い荒らす害獣なので、蛹の内に焼却せねばならないのだ。横綱、楽しかったよ。さようなら。ライターの火で蛹は一瞬で炎に包まれた。炎は天井板に燃え移り、外に出たおれがヴェスパにまたがって振り返ると、もう部屋全体が炎に包まれ、黒煙を噴き上げていた。次の横綱とも、友だちになれるだろうか…。

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世紀末覇王伝説

くそっ!どいつもこいつもトキ!トキ!トキ!なぜ誰もおれを尊敬しねえ!?地面を叩き咆哮する渡辺電機(株)さんを、憐れみの目で一瞥したレイとケンシロウは、顔を寄せしばらくヒソヒソと相談した後、各々5千円ずつ出し合い、渡辺電機(株)さんに持たせてやった。これだけあれば郡山に帰る新幹線代と、駅弁代くらいにはなるだろう。もう実家に帰って、親御さんと静かに暮らすが良い。で、でもおれは世紀末の覇王に…。まだ言うか。レイが一歩進みよると、渡辺電機(株)さんはヒィッと泣き声を上げ、地面に散らばった金をかき集めると、何度も振り返ってぺこぺことお辞儀をしては、モノスゴいスピードで、上野駅の雑踏へ消えて行った。呆れて見送ったレイとケンシロウは、ゲン直しにパッとやるかと連れ立って入ったガールズバーが悪質なボッタクリ店で、パンツ一丁で震えて村へ戻るハメになったという。

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昆虫大戦争

ションベンにアリが群がるかどうかで、糖尿病かどうか一発でわかるぜ!そう言って巨大な蟻塚に向けて豪快に放尿を開始した渡辺電機(株)さんですが、アリが群がるところか、電機さん特有の強い揮発臭のする尿を浴びた蟻塚は、いやな臭いの紫色の煙を上げ、激しく炎を噴きながらドロドロと溶け始めました。だったらシロアリ駆除の仕事で大儲けできんじゃん?ションベンなんてタダじゃん?とお思いでしょう。しかし、尿を放出するにしたがいドンドン縮んでいった彼の身体は、しまいには小指ほどの大きさになり、水圧で空中に舞い上がり、ピルピルピルと音を立てながらどこか遠くへ飛ばされて行き、それっきり。あれは、全て夢だったのでしょうか。

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土俵の鬼はお年頃

書いたと思ったブログを書いてなかった!そう気づいて、満員の観衆があっけにとられる中、サッサと土俵を降りて支度部屋へ戻ってしまった白鵬関に、さすがの温厚で知られる八角理事長も、とうとう堪忍袋の緒が切れました。ブログを更新し終えて、涼しい顔で土俵に戻ってきた横綱を、朝青龍や貴乃花、武蔵丸から北尾、輪島、佐田の山、栃ノ海ら最古参に至るまでの歴代横綱が、土俵上にそろって待ち構えていました。手に手にメリケンサックやヌンチャクを持っています。観衆を前にした苛烈なリンチは、その夜遅くまで続いたということでございます。

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