長くレジ係を勤めていた登別のスーパーで重大なヘマをやらかして店を休業に追い込んだ渡辺電機(株)さんは、解雇どころか本社から告発を受け、数千万の賠償金を背負う身となり、今ではオホーツクの海でセイウチ漁に身骨を削っているという。桜の季節も過ぎたと言うのに今なお凍てつく北の海で、仕事の合間に暗い海面を見つめては、エレジーを口ずさみ涙を浮かべるその姿に、かつて土俵で歴代の横綱を次々と投げ飛ばした偉丈夫の面影は、無い。今の奴は、ただのオッサンよ。殺れ！横綱白鵬の命を受け、北海道に向かった五人の殺人力士。朝青龍、朝赤龍、朝黒龍、朝白龍、朝無龍。外科的な処置によって人間の心を失った五人を乗せたゴムボートが、音もなく近づく。涙を浮かべていた渡辺電機(株)さんの目に、狂気の光が宿る。北海の死闘が、始まろうとしていた。
この映像、全編通して見たの初めて。こんな設定があったのですね。
