メキシコ修行時代はエル・ポコチーノと名乗ってマスクを被り、飛んだり跳ねたり時には大小便を撒き散らすド派手なルチャドールとして、現地のファンも多かった渡辺電機(株)さんだが、日本に帰ってからの漫画家生活は貧しく惨めなものだった。マスクを被っての持ち込みにも編集者は一様に冷たく、いくら見た目で奇をてらっても肝心の作品がワンピースの書き写しじゃ話にならねえよと、指を鳴らして屈強な黒人の警備員を呼んだ。結局、還暦を前に漫画をあきらめてメキシコに戻り、今ではリングに復帰している渡辺電機(株)さんだが、漫画家時代の話を聞かれると逆上し、シナリオを忘れて暴れ、何人ものレスラーを血祭りに上げており、評判は良くないという。