近隣の女子校のみならず男子校や屈強な不良揃いの工業高校の番長たちまでも制圧し、名うてのスケバンとして鳴らした渡辺電機(株)さんも、集団就職で上京し、石森プロのアシスタントになってからは、人が変わったようによく働き、学んだ。刻苦勉励の甲斐あって初めての連載作品「クソゲー戦記」が始まった際には、師匠の石ノ森章太郎の墓を訪ね、墓石の前に正座して一晩、師匠の霊と語り明かしたという。でも、その頃まだ石ノ森先生って生きてましたよね。坂上忍のその一言をきっかけに次々と嘘が露呈し、渡辺電機(株)さんは生放送のスタジオで厳しく糾弾され、恥を晒した。本当はスケバンどころか始末に負えないおたく族で、エロ漫画家仲間のコネを使って石森プロに潜り込み、ろくに仕事もせずスタジオに寝泊まりして飲み食いし、会社に甚大な損害をもたらし、多額の賠償請求を受けている身であることも明らかになり、せっかくの政界進出の機運も棒に振り、失意の内に南千住の路上で凍死体となって発見された。
