「今日の朝食は朝鮮人参まるごと一本、ニンニクひとつかみ、ピータン五個、ナッツ手のひら山盛り、チーズ少々、青汁。昼はビフテキ500グラムにチーズドリア二人前、グレープフルーツ二個。夜はウナギの白焼一尾、若鶏の丸焼き二羽、豚汁三杯、タクワン一本、米一合、ハブの粉末少々。さすがに鼻血と勃起が一日中止まらねえが、おれたちゃ喰わなきゃ商売になんねえんだよ！」そう言って渡辺電機(株)さんは高らかに笑うと、立ちくらみを起こしてうずくまった。やせこけたうなじ越しに見えるシャツの襟は垢で汚れ、折り返しは擦り切れてぼろぼろになっている。電機さん、よかったらちゃんこ食べて行きなよ。そう言って肩に掛けた手を振り払うと、渡辺電機(株)さんは脚気の症状かヒザをがくがく震わせながら、目を充血させて横綱を罵った。てめえなめんなよ、おれぁ痩せても枯れても渡辺電機(株)だぞ。ほとんど歯のない口をぱくぱくさせてなおも何か言おうとするが声にならない渡辺電機(株)さんを、哀しげにじっと見つめた横綱は、やがて穏やかに非礼をわび、どうかちゃんこを食べて行って下さいと、ていねいな口調でお願いした。どどどうしてもってんなら食ってやろうじゃねえか！ただしまずかったら承知しねえぞ！得意満面で横綱の鼻先に人差し指を突きつける渡辺電機(株)さんを、さすがにムッとして咎めようとした付き人を、横綱は無言で首を振って制した。この二人の立場が、一年後にまったく逆転すると、この時誰が予想し得ただろうか…。
新曲。もう尖ってんのかユルいのか、よく判らない。今こういうのを流す場所、あるのかしら。
