怪しい来客簿

長い眠りから赤塚不二夫が目を覚ますと、トキワ荘はしんと静まり返り、人の気配が無かった。自分に仮眠を取らせて作業を続けているはずの隣の石森の部屋からも、いつもの大音量のレコードの音は聞こえてこない。原稿、上がったのかな。起き上がって隣室を覗こうと思ったが、身体は鉛のように固まって動かない。焦っても、手足に力が入らない、いや、手足の感覚がまったく無い。誰かちょっと。叫ぼうとしたが、声は出なかった。枕元に座る人影に、助けを求めて目を向ける。あ、石森氏のおねえさん。生きてたんですか。人影は答えず、黙って赤塚の布団の中に潜り込み、背後から身体に絡みついてくる。ああ、やっぱりおねえさんも女だったんだなあ。不思議に暖かい感慨の中で、耳元に甘い吐息を感じ、声を聞いた。「サインしてください」野太い声。布団の中に潜り込んでいたのは、渡辺電機(株)さんだった。てめえ、三下の分際で。激怒した赤塚は枕元にあったピコピコハンマーで渡辺電機(株)さんが泣きじゃくるのも構わず何度も殴りつけ、怒りに任せて表に飛び出すと、つのだじろう所有のヴェスパにまたがり、猛スピードでどこかへ走り去った。2008年の夏の日のことだった。

 アタタック期のライブ映像だ！全部かっこいい。マリナズがお買い物の格好してる…！

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