渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

激亀忍者伝

戦場でおれを助けるために自分が犠牲になって爆裂四散したはずの渡辺電機(株)さんが、敵国で生きているとの情報を知り、おれはいてもたってもいられなくなり、あらゆる手をつくし、中国の外交筋の裏ルートを使い、領事館の職員として入国することに成功した。戦争の傷跡も生々しい街を抜け、渡辺電機(株)さんが暮らしているという山間の沼を訪ねると、そこで見たのは、人間としての全てを捨てて、亀になりきって全裸で暮らす世捨て人だった。すでにおれのことも覚えていないらしく、水苔に覆われた身体で四つん這いになり、アオアオと鳴き声を上げながら、エサをねだって近づいてくる。強烈な悪臭。それ以上にゾッとするような生理的な嫌悪感を覚えたおれは、ほとんど発作的に渡辺電機(株)さんの成れの果ての亀人間に銃を突きつけ、何発も撃ち込んだ。効かねえな。薄笑いを浮かべた亀人間が、銃弾が貫通した穴を指先でなぞり、おれに笑いかける。あの時バラバラに飛び散ったおれの体を、忘れたのか。指先が、背と腹の境界にある蝶番のようなものを弾くと、甲羅は裏表が離れ、音を立てて大地に転がった。甲羅の中には胴体も何もなく、渡辺電機(株)さんの頭部から直接、長い四肢が伸びていたのである。どうだい、お前も亀の仲間にならねえか。尚も薄笑いを浮かべておれの肩をつかむ渡辺電機(株)さんの力は、モノスゴく強かった。肩の関節が握り潰される音が、骨を通して耳に伝わってきた。

 これ結局CD出なかったのでは

殺人十章

殺人十章