お小水を持って参りました。そう言って執務室に紙コップを手に入ってきた、パジャマ姿の渡辺電機(株)さんを見て、山本太郎衆院議員は状況が飲み込めず、はぁと生返事をして、渡辺電機(株)さんを眺めていた。なんやこのオッサン。議員会館の警備態勢は、どないなっとんねん。デスクの下の緊急コールボタンに手を伸ばした、その目の前に置かれた紙コップは、美味しそうな香りを漂わせるキャラメルマキアートで満たされており、そこには「山本先生Happy Birthday」の文字。あ、今日おれ誕生日や。ほっこりとすると同時に、張り詰めていた心がゆっくりと緩んで行き、太郎の体は一匹の大きな龍に姿を変えていた。議員会館から一筋の白い煙がゆっくりと立ち上り、青空に溶けて行く。太郎は、空に帰って行きました。
まだAmazonが今ほど普及していなかった頃（たぶん20世紀）アール・マンキーの公式サイトの通販でこのアルバムを買った。注文して金も払い、いつまで経ってもブツが届かないので、メールで催促した処、「もうとっくに送ったんだけど郵便事故かもしれないね。もう一度送ります」との返事が来て、ほどなく品物は届いた。今考えると、あの返信をくれたのはアールさん本人だったのではないか。確かめようにも、おれはすでにこの世にいない…。ここは暗くて寒い…早くみんなも…。
