「桜田門外の変、坂下門外の変、さてあと一つは何でしょう？ハイ電機さん早かった！」手を挙げてもいないのにいきなり指名されて、一瞬絶句して固まってしまったが、これは生放送である。おどけて大げさにあわててみせ、「ひらめいた」のポーズをとり、甲高い甘えた声で出まかせに「チンポ以外は変！」と叫んだ。間髪入れず、司会の三波伸介が満面の笑みで「はい残念。電機さん、死刑！」叫ぶやいなや、足下から取り出した巨大なチェンソーを構えると、けたたましい駆動音を轟かせて大股に歩み寄ってきた。ぶんぶんと振り回すたびに、左から順に歌丸、木久蔵、円窓、圓楽らの首がポンポンと血潮を噴いて飛んで行く。返り血で真っ赤になった顔でニタニタと笑いながら、伸介さんは逃げ惑うこん平、小円遊、山田隆夫らを背後から一振りで次々と斬首していった。舞台袖に追い詰められたおれは、必死の思いで「わかった！チンポも変！チンポも変です！」と叫んで、そのまま気を失った。目覚めると、伸介さんはおれの頭上で、まだ回転し続けるチェンソーを振りかざしたまま、首の断面から血潮を噴き出しながら仁王立ちしていた。おれの目の前に転がるその生首は、「正解だよ電機さん」とでも言いたげに、穏やかな笑みを浮かべていた。
