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渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

タモリ部落

夜中の0時半近く、電話がなんだか粘ついた厭な鳴り方をした。出ると、くぐもった途切れ途切れの声で、新宿がどうのこうのと要領を得ない。誰だかよく判らない相手が、やあやあこれもそれも久しぶりに死にましたかなと、意味のよく通らないことを言って、最後に「タモリさんに代わります」と、そこだけ妙に明瞭な耳元に口をつけたような声で言った。そしてまたノイズの向こうから何か陽気な、でも途切れ途切れのくぐもった声が、聞こえてくるのだった。「…くれるかな?かな?」陽気な声が畳み掛けてくるのにかまわず、私は通話を切った。もし「いいとも」と答えていたら、私は二度とこちらの世界へは戻って来れないかもしれない…。ふと視線を上げると、視界は全て色のないモノクロームで、私は狭い桐箱の中で仰向けに横たわっていた。天井に開いた小さな窓から、目を泣きはらした母親が見下ろしているのが、やっぱりモノクロームで視界に入ってきた。母が他の親族に促されて離れて行き、小さな窓が閉じられようとする寸前、私は必死に声を出した。「いいとも!いいとも!」時すでに遅く窓は閉じられ、親族がすすり泣く中、棺は轟音とともに炎に包まれた。

STRUGGLE TO SURVIVE

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