絶対もうかると勧められて始めたアダルトビデオの行商だったが、さっぱり売れない。第一今どき、VHSのビデオデッキなんて持ってる奴がいない。明らかに90年代前半に作られた、眉の太いボディコンギャルがシナを作る、けばけばしいパッケージの山をリヤカーに積んで、明け方の首相官邸前で途方に暮れていると、何やら人の声がする。庭をのぞき込むと、ブリーフ一丁の安部総理が、体中にアザを作りながら、必死でヌンチャクの練習をしていた。「あ、それコツがあるんすよ総理」こうして打ち解けたおれたちは、国会審議の後の休息のひとときを、議事堂の一室で昔のＡＶを鑑賞して過ごすようになった。最初は奇異の目で見られていたが、次第に党派を超えて仲間も増え、まさかの安倍新党へと実を結んでいくのだから、人生何が起きるか判らない。
