血のバレンタイン

バブルの頃には日本中にあふれかえって不良外人の代名詞のようだった出稼ぎイラン人もすっかり見かけなくなり、それどころかおれ自身がイランで日本のエロ同人誌を売り捌いて、せっせと日本に仕送りしているのだから、時代は変わった。当地の事情に鑑みて、女性キャラ全員の顔を黒い布で隠さねばならないので、かえって画力がバレずに済む上に、他人のエロマンガをパクってもバレないので、まさに濡れ手に粟ってヤツである。意気揚々と帰国したら、おれとの将来のためにコツコツと仕送りを貯金してくれていたはずの白鵬は、ちゃっかりモンゴル人の女と結婚して、豪邸を建てて暮らしていた。だまされていたのだ。イスラム仕込みの復讐劇が、幕を開ける…。