今これが流行ってるらしいじゃん仲間に入れてくれろ〜♪ と、古ぼけたアメリカンクラッカーをカチカチ言わしながら、ハンドスピナーに興じる小学生の群れに飛び込んでいった渡辺電機(株)さんは、数十個のハンドスピナーの回転で発生したエネルギーとアメリカンクラッカーの波動が衝突し、モノスゴい勢いで弾き飛ばされ、血まみれで校舎の壁に叩きつけられた。血染めの肉塊の上に落ちたアメリカンクラッカーは、なおも時折カチカチと音を出し続けたが、渡辺電機(株)さんの命の炎がゆっくりと消えるに従い、静かになった。
続きを読む君は最高さ
ボーイ・ジョージと音楽性の違いで衝突してバンドを脱退して以降の渡辺電機(株)さんの人生は、波瀾の連続であった。元カルチャークラブの肩書が何の役にも立たないことにすぐ気づいた渡辺さんはアッサリ音楽業界から足を洗い、日本の神田神保町の三省堂並びに、日本文学専門の古書店「渡辺書林」を開いた。もとより収集していた貴重な文献の数々に加え、豊かな知識と柔らかな人柄で、商売はたちまち軌道に乗った。その年の暮に神保町一丁目の全ての土地を買収して、高さ600mの漆黒の巨大な塔を建立、渡辺電機(株)帝国と名付け、その最上階に居を構えた。塔から発する電波により、東京都内の人々は一人残らず発狂して、その場で動物のように際限なく交尾を繰り返し、衰弱して死んだ。そんなある日。荒廃した東京に黒く聳え立ち電波を放ち続ける巨塔に、懐かしい来客があった・ボーイ・ジョージその人である。彼もまた苦労を重ね、人間的に深みと優しさを兼ね備えた紳士に成長していた。もう一度いっしょにやろうよ、電機さん。手を差し伸べるボーイに、返答は無かった。玉座に座った渡辺電機(株)さんは自らの発した電波に脳を侵され、全身透明のゼリー状の物体になり、電波の周波数に合わせて、ぷるぷると震え続けていた。
続きを読むおすもうさんのうた
左腕が全く使えない状況で大ピンチの横綱稀勢の里に、強力な助っ人が現れた!「電機がパパのお手伝いすゆう!」幼児の格好でよちよちと横綱の後をついて歩き、えいっと可愛い掛け声をあげて相手力士の腹をポカポカなぐりつける初老の漫画家。場内は水を打ったように静まり返り、解説の北の富士さんも言葉を失った。困り果てた横綱が、パパじゃないよと優しく声をかけると、渡辺電機(株)さんは急に年相応の険しい顔つきになり、なんだパパじゃねえのかよと吐き捨て、舌打ちしながら花道に消えた。やがて土俵が元通りに進行する中、我に返った場内警備の親方衆が手をつくして探したが、渡辺電機(株)さんは忽然と姿を消していた。場所が明け、取り壊された土俵の中から発見された渡辺電機(株)さんの死体は、死後数年が経過していたという。
続きを読むリモートコントロール
明日は関西コミティアに出ます。ブロックはA-41。大阪初売りはコピー誌「きちがい増刊号」200Gです。えげつない関西人の皆さん、どうぞよろしく。たぶん2時頃には撤収します。と、優勝インタビューで棒読みのように話す無表情の横綱稀勢の里が、何者かに操られていることは明白だったが、協会や報道陣の誰もが、敢えてその事に触れようとはしなかったと言う。
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