渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

鬼の国へ

定食屋で味噌汁にゴキブリが浮かんでいたのでカンカンに怒って店主を呼びつけたら、厨房の奥から金棒を持った真っ赤な鬼の巨体がこちらへ向かって来るのが見えたので、渡辺電機(株)さんは金も払わず一目散に店の外に逃げ出した。一息ついて歩き出したところで背後から店の自動ドアが粉砕される音が轟き、ヒィンッと泣き声を上げて四つん這いで逃げる渡辺電機(株)さんを、ドスドスと歩道の石畳を踏み割りながら、鬼の気配が猛烈な勢いで迫ってくる。おれっす、電機さん。甲高い声に振り向くと、鬼の顔はよく見ると、かつての親友・ラッシャ一板前その人だった。おれもう、殿や軍団のみんなに足蹴にされたり笑いものにされたりしたら、我慢すんのやめることにしたんだ。そしたら身体がこんなになっちゃってさ…。もう、みんな食っちまったよ。なあ、電機さんはおれのこと、怖がらないよな…?悲しげな笑顔で迫ってくる、板前の顔の赤鬼。そして、失禁したまま言葉も出ない渡辺電機(株)さんを肩に乗せ、鬼の国へ帰って行ったという。