渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

海から来た男

海ぼうずの異名を取り、学園一の怪力男として番長の右腕と恐れられた高校時代。喧嘩に負けたことはなく、自信満々で飛び込んだマンガの世界で、おれは初めて自分の非力さを思い知らされました。石ノ森先生が小指一本おれの額に軽く押し当てただけで、おれが…

西新宿の空高く

連載対談「田原総一朗のあんたが嫌いだ」の第一回ゲストは、金権選挙で批判を浴びた代議士の糸山英太郎だったが、この時、多忙な糸山氏に代わって田原と対談したのが、漫画家としてデビューする前の、若き日の渡辺電機(株)さんでる。仕事内容をよく把握して…

オヤジ狩りに遭ったけど何か質問ある?

「おっさん、デンキって名乗るくらいだから電線伝って逃げたらいいべよ」ゲラゲラ笑いながら、押さえつけたおれのうなじに針金をぶっさしたカラーギャングのガキが、ギャッと甲高く叫んで飛び上がり、耳から血を流して動かなくなった。どよめいて駆け寄った…

Cat Scratch Fever

近所の、廃屋寸前の一軒家に住む一人暮らしの老婆が、猫を集めてエサをやるものだから、いつしかババアの家は猫屋敷と呼ばれ、近隣の飼猫が集まり、朝から晩まで猫の声が絶えることがない。そしてとうとうおれの家の猫も、猫屋敷に出入りするようになってし…

おれと兄貴のハネムーン

本家渡辺電機(株)と元祖渡辺電機(株)の間で長年続いた商標権をめぐる裁判に、新たに渡辺電機(株)本舗が加わり、正直もう漫画どころではないので、思い立ってアトリエを取り壊して巨大ショッピングモールを建設、自遊空間やカラオケ館、ジーンズメイト、ガス…

先生の思い出

三条大橋で肩がぶつかったなど些細な事が原因で口論となった会津藩士数人と乱闘になり、素手で藩士たちの首を次々もいで鴨川に投げ捨てたという伝説を持つ渡辺電機(株)さんだが、その怪力と逆上すると手がつけられない凶暴さとは裏腹に、普段は目立たずおと…

どうどう野郎

「ソース二度漬け禁止」と張り紙のされたカウンターで、これならいいだろ!と、まずサクサクのカツをしゃぶって存分に食感を味わってから、ヨダレでふやけたカツを堂々とソースに漬け、「してやったり」の表情で頬張った渡辺電機(株)さんは、その度胸が認め…

ルチャドールになるために

元レスラーでメキシコを転々としていたというウソの経歴でハクをつけ、ルチャドールの日常あるある4コマで大ヒットを飛ばし巨万の富を得たが、六本木ヒルズで開いた初めてのサイン会には世界中のマスクマンが押し寄せ、口々におれのうそを暴いて詰め寄った。…

変態五輪書

リオのオリンピックは大成功のうちに幕を下ろしたが、おれたちの変態オリンピックはこれからだ!そう絶叫して、全裸でオリンピック高円寺店の屋上めざしてよじ登り始めた渡辺電機(株)さんは、下を見たら足がすくんで身動きできなくなり、セミのように外壁に…

ファイナルファイト

あなたね、包茎手術しないとこれ、ちんちん取れちゃいますよ。女になっちゃうの。ね、今スパッと切っちゃいましょ。簡単簡単、5分で終わります。スッキリしましょ。おーいこの後オペ入ってたっけ。ない。はいオケ。決まり。じゃあさっさと済ませましょう。…

褐色の侵略者

けいさつ?ここはけいさつじゃないよー。スッとぼけてその場をしのごうと思ったおれの演技もむなしく、ドアはショベルカーにブチ破られ、屈強な黒人警官が集団で部屋になだれ込んできた。問答無用でうつ伏せにされ、後ろ手に手錠をかけられながら、形式的に…

ザ・インセクト

クワガタムシは、身を全部食べたら、最後は甲羅になみなみと熱燗を注いで飲み干すと、ほんのり虫の香りが広がってンマい!!とかデタラメを言ったら、信じるバカがいるんだよなあ!と笑うと、それまで差し向かいで上機嫌で盃を重ねていた横綱千代の富士が、…

ハレンチ漫画家一代記

アフィリエイトで一攫千金!と筆を折り、マンネリを感じていた漫画家の職を辞して、アダルトサイト業界に飛び込んだ石ノ森章太郎だったが、濡れ手に粟の時代はとっくに過ぎ去り、日々のマメな更新とアクセストレードの地道な作業の繰り返しだった。それでも…

モーニングティー

ガラッガラに空いてるドドォールで、マンガのネームをシコシコ描いておりましたら、常連の少し頭をやられた女性が入店、オーダーしたアイス珈琲を手に、一直線に小生の隣の席に着かれました。先も申し上げたように、店内ガラガラです。緊張でシャーペンを持…

ガイアの詩

イルカの絵もあんまり売れなくなってきたので、これからは河童で行く。

災の言霊

成城学園に教団施設を建設する費用を捻出するため、生原稿を売りにまんだらけに行った。これはちょっとお値段付けられないですね…と言うので、そんな高いんすか?と目を輝かせると、店員は申し訳無さそうに目を伏せ、どうぞお持ち帰り下さいと言うなり、何か…

いつかギラギラする日

アズキをとごうか、人をとって喰おうか、ジャラジャラ…。いつもそう絶叫しながら、街で子供を追い回して妖怪ごっこをしていた渡辺電機(株)さんは、地元の小学生たちの間で「おばけのおっさん」と親しみを込めて呼ばれ、給食の残りのパンや牛乳をもらって生き…

おたく族よ街に出よう!

みなさんこんにちは。コミーケでした。大勢の人に「今日の新刊は」と訊かれ「今日の新刊は無いのですがこちらが5月のコミテヤの新刊で」と説明の途中で帰られて、背後から罵声を浴びせて揉み合いになり鼻血を出すなどの作業をこなしました。みなさんありがと…

おれの秋葉原

セガサターンとバーチャファイターのセットを求めて秋葉原の中央通を全力疾走で渡ってから22年が経つのだが、まさか未だに駆けずり回って探し続けていると、誰が予想したであろうか。何しろこの中央通がやたらと広く、走っても走っても向こう側にたどり着か…

ロッキンコンチェルト

今日はうそをつく余裕が無いので、とりいそぎ電子書籍の新刊のご案内のみとさせていただきま、えっ誰あんた。警察。いや、人違いじゃないっすか。いや昨日?昨日でしょ?おれ昨日ずっと仕事行ってて、なんだ触んな!知らねえよ!女のパンツなんか興味ねえし…

野獣死すべし

祝日の今日は八景島で営業が一本。イルカショーも最近は本物のイルカを使うところが増えてきて、われわれ職人の出番も減りつつある。そりゃイルカ「に見立てた」おっさんが舞い踊るよりは本物のイルカを使ったほうがお客が盛り上がるのは当然だが、獰猛な禽…

グランシャトーはレジャービル

大阪に行くと必ず寄っていた京橋駅前のうどん屋「京橋浪花」が店を閉めてしまったので、おれの記憶の中の浪花を訪ねて、おやじにワケを聞いてみた。おれの記憶がうろ覚えなためか、おやじの顔も声も曖昧で聞き取りづらく、くぐもった声で「景気が」「再開発…

Star Child

駅のゴミ箱から拾った食いかけのツナサンドや、庭で干からびている犬が残したエサを食っても、腹が満たされ力がみなぎるばかりで、全く腹を壊したりしないこのおれだが、アイスの食い過ぎには注意が必要だ。さっきも近所のケーキ屋で店員の目を盗んで、持ち…

宇宙の征服者

「おれはニューヨーク・ジェッツのクォーターバック、渡辺電機(株)だ!」決然と言い放ち、得意のタックルで次々と敵をなぎ倒そうとした渡辺電機(株)さんは、小柄な初老の守衛に苦もなく取り押さえられた。女生徒たちに囃し立てられ、チョークや上履きを投げ…

渦状星雲創成記

今日のテロ行為:駅前のスカしたスタバの店内に、でかいガガンボ500匹を放つ…!!こうしてスタバの入り口で、ガガンボ500匹にたかられて立ったまま死んだおれの亡骸は、誰もが気味悪がって近寄らず、そのまま3日ほど放置された。さすがに評判を呼び、新聞沙…

Kinky Afro 2016

聖なる出羽三山の山頂で均等にうんこをする計画を実行に移し、羽黒山、湯殿山と山頂の野原にモリモリ大量の大便を積み上げ、意気揚々と登った3つめの月山。山頂に広がるチングルマの茂みに入り、花の香と小鳥のさえずりの中でモリモリと脱糞、満足のマリファ…

西洋道中膝栗毛

オアシスをオエイシスと表記しないと怒る、みたいな人はロック以外のジャンルにも少なからずいて、例えばヴァンダレイ・シウバをバンダレー・シューバと表記されて激怒する格闘技ファンも少なからずいるし、おれもとあるアメリカ人の高名な音楽プロデューサ…

文藝的な、余りに文藝的な

火曜サスペンスのお色気シーンにチョイ役で出るという話で、いざ現場に来てみたら、AVの撮影だっつーじゃねえか。ふざけんじゃねっての!んでジャーマネにおめ話違うんじゃねつったら、甘ったれんじゃねえぞ風呂に沈められないだけマシだと思えって、甘った…

怪獣無法地帯

マツケムシは焼くと松の香りがして香ばしくンマいが、よく毛焼きをしないと喉が刺されて大変だよ!と書かれていた「飢餓食入門」の記述を鵜呑みにして、縁日でマツケムシを売って大儲けしようと企んだ渡辺電機(株)さん。虫かごとアミを持って鼻息荒く能登半…

皇帝のいない八月

風薫る八月!こんな陽気の日は全裸Ingressに限りますね!そう言って皇居北の丸公園をフルチンで闊歩していた渡辺電機(株)さんはたちまち警備員に咎められ、泣きながら半狂乱で逃げまわった。警備員に詰め所の警官も加わり、皆一様に首をかしげ苦笑いしながら…