渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

憂国の四士

俺たちゃ地獄のハックルベリーフィン!指を鳴らしてお揃いのステップを踏みながら街を行く、渡辺電機(株)さんとその一味。安倍総理横綱松本清張、そしてポール・マッカートニー。今まさに朝礼が始まろうとしていた小学校の校庭に現れた彼らに、生徒たちは可愛らしい声でざわめき、教師たちはついに来たかと、身を硬くする。横綱のひとにらみで道を開けた教師たちを尻目に、四人は指を鳴らしながら壇上に上がる。演説ならお手の物の総理がマイクを持ち、朗々と語りだす。みなさん、我々がいわゆる、ハックルベリーフィンなのであります。断固たる決意を持って、冒険をですね、実行していく所存なのであります。ところで。と、総理は自分を含む四人を指し示して、この中に一人、死んでるやつがおる。誰やッ!!唐突な総理の怒声に、静まり返る校庭。次の瞬間、全児童が、一斉に渡辺電機(株)さんを指差す。え、俺。いや、おれじゃなくて清張さんっしょ。おれ全然生きて……あれ??そういう渡辺電機(株)さんの指先がグズグズと崩れだし、腐った眼球がポロリと足元に落ち、コロンコロンと転がって、生徒たちの方へ地面を転がって行く。そこにはもう児童の姿はなく、あるのは一面の古ぼけた地蔵だった。お、お、お…。全身に朝日を浴び、苦悶しながら崩れ落ちていく渡辺電機(株)さんをじっと見下ろす安倍総理松本清張ポール・マッカートニーの3人の姿が、眩い日光のハレーションの中に黒く溶けて行き、渡辺電機(株)さんの朽ちた骨がカラカラと音を立てて風に吹かれている他は、そこにはもう何も無かった。

P.X.R.5

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