おれは!とんかつに隠れたアブラ身の位置を即座に感知して、完璧に取り除く人呼んで「とんかつアブラ身とり太郎」!!そう絶叫して目の前のとんかつにかぶりつき、前歯でシャクシャクシャクシャクと周縁部を切り離してペッと吐き捨て、赤身召し捕ったりぃ〜〜!と歌い上げ、頰を膨らませモッシモッシと咀嚼した渡辺電機(株)さんだったが、次の瞬間その目にもこもこと涙があふれ、アブラァ〜〜と泣き叫びながら、口の中のものを足元に吐き出した。電機さん、あんたビスコだのカントリーマアムだのにうつつを抜かして、赤身とアブラ身の区別もつかないくらい、舌が荒れちまったのかい。そう言って横綱は手を振り、傍の付人に、おいつまみ出せ、と囁いた。「横綱の嫌いなアブラ身とり太郎」の座を追われ、号泣しながら逃げ帰る渡辺電機(株)さんの脇をすり抜けて、次のアブラ身とり太郎の座を狙おうと、ホカホカのとんかつの乗った皿を捧げ持ち、猫背の小走りでタタタと稽古場に駆け込んで来る、安倍総理の姿があった。
本人たちよりもファンがウザくて食わず嫌いしていたバンドの代表格。