渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

子を連れて

モスクワ五輪の選手選考を兼ねた、1979年東京国際マラソン。終盤、国立競技場に入るや猛然とスパートして首位を独走する瀬古利彦に、懸命に追いすがる宗茂、宗猛の兄弟、さらに背後から泣きわめきながら青龍刀を振り回して迫る渡辺電機(株)さん。また、いじめられたのだ。あと半周に差し掛かったバックストレートで青龍刀の切っ先が届いたのか、茂、猛の順に相次いで生首が宙を舞い、首を失った身体はそのまま走り続け、カーブを曲がらず直進して客席に踊りこんで行った。あとはもう、本能の赴くまま陰茎丸出しの大暴れ。背後の騒ぎを察して、恐怖に顔を歪めて懸命に逃げる瀬古の足が、最後のストレートでにわかに鈍る。血まみれの青竜刀を構えてぐんぐん迫る渡辺電機(株)さんは、もう泣いてはいなかった。あまりの恐ろしさに泣き出した瀬古の身体はどんどん縮んでいき、ゴール前ではヨチヨチ歩きの幼児になってしまい、ゴールすることなく寝転んで、元気に泣き続けた。渡辺電機(株)さんは無言で赤子を抱き上げると青龍刀を捨て、あやしながらそのまま競技場を後にした。その子を横綱と名付け、我が子同然に慈しみ育てたという。やがて最大の敵になることは分かっていたが、そんなことはどうでも良かった。結局、翌年のモスクワ五輪に日本選手団は派遣されなかった。

ペレストロイカ期ソ連〜ロシアのアイドル?歌手。雪国にふさわしい寒々として可愛らしいピコピコシンセポップが21曲詰まって、冬のBGMにイイですよ!おれはまだ買ってませんが。

The Best of

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