渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

バブルと寝た女たち

ジューリアーナ、トーオキョオオーーッ!!深夜二時。渡辺電機(株)さんの絶叫が誰もいない空き地に響き、土管の上に設置したてんとう虫の卓上プレーヤー上で、MCハマーのシングル盤が回転する。貧弱なスピーカーの音は、秋のコオロギやキリギリスの大合唱にかき消され、何も聞こえない。紐でつながった二個のたわしをヘッドフォンに見立てて片手で支え、しかめっ面で目を閉じ身体をリズミカルに上下させる渡辺電機(株)さんを、凶暴な人食い虎が狙って、ゆっくりと空き地を這い寄って来る。唸り声を上げ飛びかかろうとした虎が、突然動きを止め、硬直して渡辺電機(株)さんを見つめたまま震えだし、失禁を始めた。閉じているかと思われた渡辺電機(株)さんの目は、いつの間にかクワッと見開かれ、目玉も何もない空洞がぽっかりと空き、その空洞は虎をしっかりと見据えていたのである。何も動くものが無い空き地に、虎の動悸の音と、虫の声と、曲の終わったシングル盤が発する針のノイズが、次第にモノスゴい轟音となって、響いた。

1997年、やかましくて夢見心地なローファイサイケポップの1枚目。捨て曲なしの実にキモチいい名作なのです。さよなら90年代、という気分になります。

Under the Western Freeway

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