渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

肉魔が来る夜

渡辺電機(株)さんは戦後、復員してすぐに蜥蟷の皮剥ぎ職人に弟子入りして修行を積み、師匠の口利きでブリヂストンの創業者一族をパトロンに、神楽坂に蜥蟷料理の店を出したのが、昭和36年の秋。梅崎春生、舟橋聖一ら文人に愛され評価を高めるとともに店も支店を出すなど規模を拡大、蜥蟷を出す店として初めてニューヨークに支店を出した。客として訪れたアンディ・ウォーホルに誘われて、彼が手掛ける「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」なるロックグループに加入、けっこう市内の女子高生の人気を得ていたが、蜥蟷中毒で多数の死者が出たのを境に、その人生に暗雲が垂れ込め始める。全裸疑惑や陰茎スキャンダルでメデイアの好餌となり、徐々に表舞台から消えて行った渡辺電機(株)さんは昭和50年、ロッキード事件の参考人として国会の証人喚問に呼ばれた際、虚ろな目つきで全ての質問にペニスと答えるなど、衰えが顕著であったという。翌年春には寝たきりとなり、5月25日、永眠。こと切れると同時に、目鼻口耳の穴からおびただしい数の蜥蟷の群れが這い出し、たちまち病室の床を埋め尽くし、アッと言う間に医師や遺族を飲み込んだ。人食い蜥蟷はさらにその数を増し、人々を襲い、やがて日本中を覆い尽くして行った。

Akritas (韓国盤) (紙ジャケット仕様)

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