やっと一人で歩けるようになった２歳の頃、指宿の温泉旅館で父親と一緒に湯に浸かりながら、大声で第１期オバケのQ太郎のテーマソングを歌ったのを、横綱は今でもよく覚えているという。いや、子供の頃はモンゴルだろ？それにアンタが生まれた頃は第１期どころか…。渡辺電機(株)さんの横ヤリに押し黙った横綱は、やがて眼球に「syntax error」の文字を表示したまま、微動だにしなくなってしまった。オッ今だ！横綱がフリーズしたと見るや、渡辺電機(株)さんはすかさず横綱が首から下げた巨大なガマグチに手を伸ばす。ちょっとダメだよアンタ！しわがれ声にビックリして飛びのくと、横綱の首がパカンと外れ、中から作業着のおっさんが現れた。おっさんは横綱の耳の後ろにある穴に真鍮の鍵棒を差し込んで乱暴にガチャガチャ回し、そろそろメンテかなと呟いて横綱の体内へ戻ると、首がぱたんと閉じて、横綱は大アクビをして目を瞬いた。チョッ、うまく行かねえや！舌打ちする渡辺電機(株)さんを、横綱は不思議そうに見ていた。刑期の200年は、まだまだ終わらない…。
