渡辺電機(株)

マンガ家・渡辺電機(株)さんの公式ブログです

登別ブルース

緑青を噴いてミドリ色になった10円玉を美味そうにしゃぶりながら、渡辺電機(株)さんは寝返りを打ち、ムニャムニャ横綱のちゃんこおいちい…と、幸せそうにつぶやいた。白老町ボンアヨロ川の畔に、ホタテ漁で使わなくなった網の山をねぐらに渡辺電機(株)さんが住み着いてから、あまりの悪臭にギャル男やヤマンバギャルが寄り付かなくなり、町に平和が戻ってきた。町を代表して感謝の意を伝えに行った町長はあまりの悪臭に倒れ、その遺体はいまだ発見されていない。近隣の道路は封鎖され、あまりの悪臭で空が薄黄色くけぶった一帯は、生きた動物の気配もなく、針葉樹林も渡辺電機(株)さんの存在を指し示すかのように、放射状に赤茶けた枯れ木が広がっている。横綱、おかわり…。幸せそうに微笑んだ渡辺電機(株)さんの笑顔が突然消え、どろんとした瞳を見開いて、身体は微動だにしないまま、眼球の動きだけでそっと背後を伺う。張り詰める静寂の中、次第に大きくなる、どすこいどすこいの掛け声。決戦の時が、迫っていた。

Dead Man's Party

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